個人のモバイル端末の業務利用率、日本の低さが顕著に……世界のモバイル端末ユーザー動向
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■モバイル端末の職場での業務利用
個人所有のモバイル端末を業務に利用していると答えたユーザーの比率は、全体では56%であったのに対し、日本の回答者では33%にとどまり、調査を行った5ヵ国と比較して、日本では職場におけるモバイル端末への対応が進んでいないことが結果として表れた。
調査対象全体で見れば、iPhoneの業務利用を認めている企業の割合は48%、Blackberryの業務利用を認めている企業の割合は41%だったが、日本においては、iPhoneの利用を認めている企業は26%、Blackberryの利用を認めている企業は5%という低い値。タブレットPCについては、調査対象全体の47%にあたる企業が業務利用を認めているが、日本では23%にとどまっている。
また、ビジネスユーザー(プロシューマー )のうち、個人の端末を無断で職場に持ち込んで使用している人の割合も、調査対象となったプロシューマー層全体では41%に達したのとは対照的に、日本の場合はわずか18%にすぎなかった。個人所有のモバイル端末から企業データにアクセスしたことが原因で、セキュリティ上の問題が発生したことがあると答えた企業の割合は、全体では30%であったのに対し、日本では17%と低い値に。この数字は、日本でモバイル端末の無断持込みが少ないことを反映したものと考えられる。
■一方で、BYOD導入を求める声も
日本企業の中で、個人所有のモバイル端末を業務に利用する、BYOD(Bring Your Own Device)導入を求める声が高まっていることも明らかになった。日本のモバイル端末ユーザーの6割近く(59%)が「会社からは自分が必要としている端末を支給してもらえない」と答え、業務で使用するモバイル端末を自分で選びたいと考えている。74%のユーザーは、会社が個人のモバイル端末の業務利用を認め、必要なセキュリティ対策をとってほしいと考えているようだ。
日本のIT部門の意思決定者の42%は、BYODの導入を求める声を感じており、企業上層部からの要請があると答えた人は37%、社員からの要請があると答えた人は25%に上った。
■モバイル端末に対する信頼度
現状のモバイルテクノロジーに対し、大多数のユーザーは必ずしも信頼を置いていないことも判明した。調査をおこなった5ヵ国の中で信頼度が最も低かったのは日本の回答者で、モバイル端末のセキュリティについて、大いに信頼していると答えたのはわずか4%、一方、ほとんど信頼できない、まったく信頼できないと答えたユーザーは合わせて16%。大半(76%)のユーザーについては、モバイル端末を信用すべきかどうか決めかねているという答えだった。
モバイル端末に対する信頼度を最も大きく左右する要素は何かという問いでは、日本のユーザーに多かった答えは、ネットワークセキュリティ(76%)、ネットワークの信頼性(46%)、端末のセキュリティ(41%)。機密情報の保全に関する責任の所在はどこにあるかという問いに対しては、日本のユーザーはサービスプロバイダー(60%)、ネットワークプロバイダー(42%)を挙げた。
さらに、モバイルサービスプロバイダーを選ぶにあたって重視するものは何か、という質問に対して、モバイルネットワークのセキュリティ(53%)と答えた人は、カスタマーサービス(25%)と答えた人を上回る結果となった。
■安全対策は不十分
日本のユーザーはモバイル端末の職場での業務利用に対して慎重であることがわかったが、その反面、モバイル端末にデータをダウンロードする前に必ず規約を確認すると答えたユーザーが半数強(56%)にとどまるなど、安全対策が十分に講じられているとは言い難い傾向も見られた。そのほか、モバイル端末にアプリケーションをインストールする際、データセキュリティ機能と設定を確認した上で手動設定を行うと答えたユーザーは、半数弱(49%)しかおらず、安全なWi-Fiネットワークのみを利用すると答えたユーザーはわずか14%だった。
今回の調査結果に関して、ジュニパーネットワークス マーケティング部統括部長の近藤雅樹氏は、「モバイル端末が急速に普及するにつれて、日本企業でもBYOD導入を求める声が高まっています。しかし、個人所有のモバイル端末の職場での業務利用に関して、日本は他国に比べて進んでいないことが明らかになりました。社員個人のモバイル端末で企業ネットワークを利用することについて、企業のIT部門の意思決定者は、盗難・紛失によるセキュリティ上の問題や、多種多様な端末を管理するための知識が必要となること、社内ネットワークへのマルウェア侵入など、さまざまな不安を感じています。世界市場における日本の競争力を高めるためには、ますますモバイル化が進む人材のポテンシャルを引き出すと同時に、新たなセキュリティ対策を検討することが企業に求められています。」とコメントしている。
《白石 雄太》
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