フェリス女学院に138年前の「金星太陽面通過」の碑…国内初観測を記念
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地球から見て、内惑星である金星が太陽の前を横切る現象である「金星の太陽面通過」は、2004年6月8日が記憶に新しいが、その前は1882年12月6日、そして今から138年前の1874年(明治7年)12月9日と非常に珍しい現象だ。そして次に起きるのは105年後の2117年12月11日で、今回は今世紀最後の観測チャンスとなる。
国立天文台によると、1874年には、日本を含むアジア地域で金星の太陽面通過の全過程が観測できることから、アメリカ、フランス、メキシコが日本に観測隊を派遣し、横浜、長崎、神戸で観測を行ったという。これが国内での「金星の太陽面通過」初観測で、メキシコの観測隊が横浜市の山手と野毛山で観測したことを記念した碑が、観測百年を記念した1974年に、横浜市中区山手町のフェリス女学院中学校・高等学校に立てられた。碑は山手本通りに面しており、通りから見ることができる。
記念碑は、同じ横浜の野毛山や、長崎、神戸にも残っている。なお、観測は世界各地で行われたが、その目的は、金星が太陽面を通過する時間を地球上の異なった地点から計測することにより、太陽と地球の距離(天文単位:AU)を求めるためだったという。
昨今の天体ショーは、Webメディアやソーシャルメディアで最新情報が更新されていくが、1874年当時は、朝日新聞はまだなく、創刊間もない横浜毎日新聞(1871年創刊)や東京日日新聞(1872年創刊、現 毎日新聞)が報じたという。
2012年6月6日の通過時間は、午前7時すぎから6時間半以上。5日正午時点のウェザーニューズ「見えるかなマップ」によると、西日本での観測条件がよく、関東や東北、北海道の一部では観測が厳しそうだ。今後の予報に注目したい。
《田村 麻里子》
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