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また、そのためのビジネスモデルは、クラウドベースのマネージドネットワークサービスを各国との垂直統合型のパートナーシップであるとも強調された。今回はJeff Kelly氏およびKevin Taylor氏(アジアパシフィック地域プレジデント)に直接インタビューする機会を得た。
――グローバル企業が、近年の中国やASEAN新興国の市場に興味を持つのはわかりやすいのですが、なぜ日本も、なのでしょうか。
Taylor氏:まさにタイミングの問題ではないでしょうか。BTは30年以上前から日本でビジネスを展開していますが、近年は日本企業の変化を感じています。多くの企業がグローバルを見据えた戦略を考えるようになり、企業の成長は海外での成功がカギとなっています。BTは、このニーズに応えグローバル戦略のサポートできるサービスポートフォリオとネットワークを持っていると考えています。その戦略は双方向なものです。単に我々のサービスを日本市場に売り込むというだけでなく、我々も日本の優秀なベンダーのソリューションやサービスを利用できるのです。BTのソリューションを日本市場でも大きく展開するには、まさに今が最適なのです。
――通信事業者としては、日本ではNTTやKDDIなどと競合するのではないかと思います。NTTやKDDIとの戦略の差別化ポイントはどこにあるのでしょうか。
Taylor氏:たしかに競合する部分もありますが、むしろ協力関係にあると考えています。NTTとはすでにビジネス協力に関する合意文書を交わしていますし、KDDIとはサービス事業においてJV(Joint Venture)を立ち上げていますし、とくにKDDIは海外でのデータセンタービジネスに注力しています。この部分で、BTのソリューションや顧客ポートフォリオで協力しています。差別化ポイントとしては、広範な垂直統合型のポートフォリオを持っていることではないでしょうか。顧客のニーズに対して、自社が持っていない部分でBTのソリューションで対応可能な部分で、お互い協力していこうという考え方です。例えば、金融系のクラウドサービス基盤であるBT Radianz Cloudは、グローバルで400以上のISPが導入し、5,000社以上が使用している実績のあるものです。膨大なトランザクションにも耐える品質や低遅延、日立の静脈認証によるシンプルかつ安全な認証システム、インテリジェントなネットワーク管理などが評価されているからです。あるいは、BT Assureのようなセキュリティサービスプラットフォームも日本企業のビジネスに協力できると思います。
――アジア太平洋地域という視点で考えると、今後はAT&Tやオレンジといった通信事業者も日本やこの地域での活動を強めてくると思います。BTとしてはどのような対策を考えていますか。
Kelly氏:確かに、ベライゾンやAT&Tは北米での事業を縮小しつつあります。BTの成功によって、彼らが同じようにアジアを目指してくる可能性は高いと思います。今後はアジア太平洋地域での競争は激しくなるでしょう。そうなったときのBTの強みはなにかというと、まずネットワークとITを統合させるソリューションの基本的な機能があります。これに、今後はモバイルが重要となるので、その分野へフォーカスしたサービス開発を強化していきます。また、中東やアフリカ諸国へのリーチといいうのも彼らに対するアドバンテージとなるかもしれません。
――日本のSIerは、業務アプリケーションを軸とした垂直統合モデルを持っています。ネットワークを軸とした垂直統合モデルの強みはなんでしょうか。
Kelly氏:我々の垂直統合モデルは、レイヤとしては通信事業者とSIerの中間にあるものです。アプリケーションを軸にしたものならば、サーバーやOSを調達できればすぐにシステムを構築できるでしょう。しかし、これからはクラウドやネットワークの時代です。デバイスやOSは単一ではありませんし、変化や代替わりのペースも早まるでしょう。長期的なサービス展開を考えたら、ネットワークを軸にしたシステムやソリューションのほうに優位性があるといえます。
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