Voice APIが変えるビジネスモデル……タクシー配車システム「UBER」
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Twilioのコアビジネスは、企業向けのテレフォニーAPIをクラウドで提供するものだが、アメリカではAT&Tが同社のAPIをベースにPCやスマートフォン向けの音声通話サービスや各種アプリケーション、そしてAPIそのもののリセールを始めており、業界の注目を浴びている。テレフォニーAPI自体は新しいものではないが、それを企業向けとはいえパブリッククラウドで提供し、AT&Tのような大手通信キャリアがそのまま利用しているからだ。AT&Tは、TwilioのAPIサービスを利用して、サービスプロバイダや企業向けに音声通話サービス、テレフォニーアプリケーションを開発し、自社の顧客にリセールするビジネスを展開している。
Twilio CON 2012では、Twilioのパートナー企業やAPIサービスに興味のあるアプリベンダー、サービスプロバイダ向けにテクニカルセッションやマーケティングセッションが開催される。
Twilio Business Development Senior ManagerであるBrian Mullen氏によれば、「北米では、金融業界など一部を除き、大手企業でもパブリッククラウドを利用したシステムやビジネスを展開するところは増えている」という。そして、同社のAPIを利用した新しいビジネスの事例として「UBER(ウーバー)」というタクシーの配車システムを紹介してくれた。
UBERは、日本でいえばハイヤーに近いイメージのサービスだ。通常の流しのタクシーより料金は高くなるが、配車される車はリンカーンの高級車(Lincoln Town Car)で、タクシーがつかまりにくいところでも、呼び出すことができる。車の手配は、すべてスマートフォンなどのアプリから行い、GPSによる位置情報を用いて最寄の登録ドライバーの車を予約できる。必要なら予約したドライバーとの通話も可能だ。
UBERが特徴的なのは、車には特殊な料金メーターなどは必要なく、UBERから支給される専用アプリがインストールされたiPhoneだけでOK(利用者はAndroid端末からも配車予約ができる)という点だ。支払も利用者が事前に登録したクレジットカードによる決済となるため、乗り降りに現金の支払いやカード決済の必要もない。また、UBER自体は配車システムのサービスを提供する会社で、自社が専属のタクシーを持っているわけではない。登録ドライバーは、UBERの試験とアプリの操作の教習を受ける必要はあるが、個人でも別のタクシー会社の車でも登録ドライバーになれる。
旅客運送業務に規制の厳しい日本では、簡単に実現しそうにないシステムだが、現地ではUBERによって、個人がハイヤー業務を始める事例が増えているそうだ。
このように、スマートフォンの普及によって、クラウドタイプのVoice APIが新しいテレフォニービジネスを生んでいる。Twilioは、これまでベンチャー企業のゴールがいわばGoogleかAmazonかAppleに買収されることであったのが、AT&Tのような大企業と提携する、つまり対等な立場のパートナーとして成功した事例として注目に値するだろう。
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