「這いよれ!ニャル子さんW」 長澤剛監督 インタビュー 前編 | RBB TODAY

「這いよれ!ニャル子さんW」 長澤剛監督 インタビュー 前編

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(C)逢空万太・ソフトバンク クリエイティブ/名状しがたい製作委員会のようなものW
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「這いよれ!ニャル子さんW」
長澤剛監督 インタビュー 前編 
ジャンルは“萌え”、「ハイテンション混沌コメディ」が気に入っている

2012年にテレビ放送された『這いよれ!ニャル子さん』は、多くのファンを驚かせた。クトゥルー神話という少しマニアックな世界観をベースに、様々なネタを盛り込みつつ楽しいラブコメとして物語構築していたからだ。
その個性的な世界観が大人気となり、2013年4月からは第2期『這いよれ!ニャル子さんW』が好評放送中だ。
逢空万太さんの原作を存分に引き出したアニメは一体どのように作られているのだろうか?長澤剛監督に本作の制作と人気の秘密を伺った。
[インタビュー取材・構成:数土直志]

『這いよれ!ニャル子さんW』
テレビアニメオフィシャルサイト http://nyaruko.com/
番組公式ホームページ  http://ani.tv/nyaruko_w/

■ 監督が語る「ニャル子さん」とクトゥルー神話

-- アニメ!アニメ!(以下AA)
最初から大きな質問になってしまいますが、前期『這いよれ!ニャル子さん』がすごくヒットしました。その理由を、監督はどう見られていますか。

-- 長澤剛監督(以下長澤)
皆様に受け入れていただいてことはとても光栄で、反響をくださったことが励みになりました。皆様に盛り上げてもらったことが一番大きいと思います。
なるべく皆さんが肩の力を抜いてゆるっと見てもらえる作品になるといいな、と思っています。ハイテンションで、キャラクター同士の掛け合いが楽しくて、ラブコメで、かわいらしくて。それを受け入れていただけたら嬉しいです。

『ニャル子さん』の元ネタであるクトゥルー神話は、もともとマニアックなところからスタートしています。みんなが遊びながら付け加えていった感じの神話体系です。それが下敷きにあって、さらに逢空万太先生の遊び心でいろいろオマージュがたくさん入っている。
そういったみんなで盛り上がる遊びのつながりが、テレビで放映を楽しむことプラス、ニコニコ動画さんですとか、Twitterとかとうまく相互作用したのかもしれません。

まったく狙っていたわけではありません。今にして思うとその親和性は、クトゥルー神話自体が根源的に持っている名状しがたい何かだったのかも。ですので、「皆様のおかげです」、「ありがとうございます」です。

-- AA
監督は、作品が盛り上がっているかなと、いつ頃から感じられましたか。

-- 長澤
僕は疑い深い方なので。あまり直に感じることはないんです(笑)。
ひとつ挙げるとすれば、クトゥルー神話のTRPGコンベンションでしょうか。僕はたまたま学生の時にクトゥルー神話のテーブルトークRPGをやっていたんです。『ニャル子さん』をやらせていただくことになって、ゲームをまたやり始めるようになったんですよ。
このオンリー・コンベンションはもともと人気が高かったのですが、『ニャル子さん』の放送からは参加予約の受付開始1時間ぐらいで席が埋まるほどになりました。

-- AA
そこまで波及しているわけですね。

-- 長澤
実際に行ってみると、参加者の中は『ニャル子さん』でクトゥルー神話を知った若い方もいるようでした。初めて来てくれる方が増えた印象です。もちろん、これだけが要因ではないでしょうけれど。
もともとのゲームが20年前、30年前にスタートしているので、わりと年齢層の高いTRPG業界がちょっとだけ若返った感じがします(笑)。

-- AA
監督がかなり古くからのクトゥルー神話のファンだったと少し驚きました。古いファンから見た『ニャル子さん』はどうですか?

-- 長澤
「こういうものあり」です。クトゥルー神話のファンは、わりと何でも受け入れるところがあります。
いろいろなネタを集めてきて、こんなのも入れよう、あんなのも入れようと楽しむ人たちが多いという意味では、『ニャル子さん』もそのかたちのひとつですから。

-- AA
それは新しいクトゥルー神話だと(笑)。

-- 長澤
そういうふうにして楽しんでいただけたらいいかなと思います。



■ ジャンルは“萌え”、「ハイテンション混沌コメディ」が気に入っている

-- アニメ!アニメ!(以下AA)
「ニャル子さん」は、そうした元ネタの由来も含めて、ジャンルがすごく独特です。監督にとってこれはパロディーなのか、ラブコメなのか、それともSFなのか、そういう区分はあるのですか?

-- 長澤剛監督(以下長澤)
ものすごく大きくなくくりでいうと“萌え”だと思います(笑)。
僕はクトゥルー神話は好きですけれども、どちらかというとマイナーなジャンルだというのは重々承知しています。ジャンルを意識するならば、やはりキャラクターの魅力を押していく、それを一番に持っていく作品です。

原作は、GA文庫さん主催の新人賞「GA文庫大賞」第1回の優秀賞を受賞した作品ですが、その帯文が「ハイテンション混沌コメディ」というキャッチフレーズだったんです。すごくいいフレーズだなと思って、ずっと使わせていただいているんです。
「ハイテンション混沌コメディ」なので、一番のポイントはハイテンションでラブな感じ、テンポのよいキャラクターの魅力を出すことを、常に念頭に置いています。

-- AA
そのキャラクターの魅力を引き立てる中にパロディーがあると思います。笑わせるのは泣かせるより難しいと言われますが。

-- 長澤
やっぱり難しいなと思います。アニメの中に自分が好きなもの、知っているものが出てくると、くすっと笑えると思うんです。けれども逆に、ピンと来ないものばかりで勝手に盛り上がられると、そんなこと言われても知らないよとなっちゃう。これはまずい。
ヘタな鉄砲も数打ちゃ当たる方式で、とにかくいっぱいやるんだと。その中で何かひとつでも引っ掛かってくれるといいな、です。とにかくいっぱいやること。
あとは、あんまり腰が引けないように。前のめりです。怒られたらごめんなさいと言って、引っ込めるんですけど(笑)。

-- AA
原作をアニメにしたときのすごく大きな違いのひとつは音楽だと思います。音楽も挑戦的です。いろいろな面白い試みをしていますね。

-- 長澤
原作の味として、ネタが数々ありますので、それを役者さんや音楽のスタッフさんたちとも話して、「同じテイストでいこう」と。
ニャル子が変身して登場するところは。たぶん原作を読んでくださった方は、そういうものを想像しているだろうなとか、あとはクトゥルー神話的に有名な○○な曲の感じでお願いしますと言ってみたり。楽曲、劇伴の方を作っていただいた、MONACAさん、特に田中さんには大変にお世話になりました。

後編へ続く (近日公開予定)

『這いよれ!ニャル子さんW』
テレビアニメオフィシャルサイト http://nyaruko.com/
番組公式ホームページ  http://ani.tv/nyaruko_w/

[放送情報]:
テレビ東京   毎週(日)深夜1:05~
テレビ愛知   毎週(月)深夜3:05~
テレビ大阪  毎週(土)深夜2:30~

AT-X
毎週(日)深夜1:10~/毎週(月)夜8:30~/毎週(水)朝8:30~
毎週(金)深夜2:30~/毎週(日)昼12:30~

ニコニコチャネル
毎週(火)深夜0時~

《animeanime》

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