【テクニカルレポート】動画像符号化の新規格HEVCに向けた高効率な重み付き画素値予測技術……東芝レビュー
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東芝は,標準化に先立って圧縮効率の改善を目指した技術開発を進め,HEVC の規格草案策定に向けて多数の技術提案を行ってきた。その一つとして,フェード効果など時間的な画素値変化を含む映像を高効率に予測する重み付き画素値予測(WP:Weighted Prediction)技術が規格草案に導入されており,圧縮効率の改善に貢献している。この規格により,タブレット,テレビ(TV),パソコン(PC)など幅広いデジタル機器への高品質な映像配信の実現が期待されている。
1 まえがき
近年,スマートフォンなどの高機能携帯端末や,4K(3,840× 2 , 1 6 0 画 素 )テレビなど映像表示デバイスの技術革新により,映像は大画面化及び高解像度化の方向に進みつつある。しかし,増加するユーザー数と高解像度化という二重の負荷増に通信インフラの発展が追いついておらず,映像本来の品質を落とさずにデータ量を削減するための,新しい映像符号化技術が望まれている。動画像符号化の現行国際規格として知られているITU-TとISO/IECによるH.264/AVCは,幅広いアプリケーションで普及が 進んでいるが,圧縮効率と機能面で十分とは言えず,更なる圧縮効率の改善に向けた取組みが進められている。
ISO/IECのMPEG(Moving Picture Experts Group)とITU-TのVCEG(Video Coding Experts Group)は,H.264/AVCの更に2倍の圧縮効率を目指した,動画像符号化の次世 代国際規格の標準化活動を行う新組織 JCT-VC(Joint Col- laborative Team on Video Coding)を2010年に立ち上げた。新規格の名称をHEVC(High Efficiency Video Coding)とし,最初の規格文書が2013年初頭に発行された。
東芝は,HEVCの標準化活動がスタートする以前から,来るべき動画像符号化の新規格に向けた圧縮効率改善技術の開発を進めており,HEVCの標準化活動のなかで数々の技術提案を行ってきた。重み付き画素値予測(WP:Weighted Prediction)は,フェード効果など時間的な画素値変化を含む映像を効率良く予測する動き補償予測技術の一つであり,画面内予測を考慮した直交変換は,35 種類のモードを持つ画面内予測の誤差を高効率で圧縮する技術として,当社が積極的に提案活動を行ってきた。これらの一部はHEVCの規格草案に採用されており,圧縮効率の改善に大きく貢献している。
ここでは,HEVCの特長と映像圧縮技術の概略の全体像, 及び当社が開発したWP技術と直交変換技術について述べる。
《RBB TODAY》
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