スマホで楽しむ『手のひら読書』…電子書籍市場、盛り上がりのカギ | RBB TODAY

スマホで楽しむ『手のひら読書』…電子書籍市場、盛り上がりのカギ

エンタメ 調査
「手のひら読書」実態調査
「手のひら読書」実態調査 全 4 枚
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 電子書籍リーダーなどの「ハード」にお金をかける人は少なくても、手持ちのスマートフォンで利用できる電子書籍サービスなどの「ソフト」にはお金を使っている人が多い---。トレンド総研では、“スマホで電子書籍を楽しむ”ことを「手のひら読書」と名付け、実態について調査した。

 日本の電子書籍の市場は拡大が予想される。電子書籍を読む専用端末である「電子書籍リーダー」はそれほど浸透していないようだが、市場が盛り上がりを見せている理由の1つが、「スマートフォンで電子書籍を楽しむ」層の増加にあると推測できる。調査結果から、スマホユーザーの約4割が「手のひら読書」経験者、人気コンテンツは「マンガ・小説・雑誌」、興味のある内容であれば有料コンテンツに抵抗はない(88%)、といったことがわかった。

 調査は、20~30代のスマートフォンユーザー男女500名を対象にした。まず「スマートフォンを利用するようになってから、携帯電話の利用時間は増えましたか?」と聞いたところ、74%が「増えた」と回答している。

 そして「スマートフォンを使って電子書籍を読んだことはありますか?」という質問には39%、約4割が「ある」と答えた。「読んだことのある電子書籍のジャンル」として最も多かった回答は「マンガ」で、約8割。以下「文芸・小説」、「雑誌」、「ビジネス書」と続く。また、「スマートフォンを使って電子書籍を利用するシーン」について聞くと、「自宅でくつろいでいる時」、「移動中」、「寝る前」などが上位となった。

 「スマートフォンを使って有料の電子書籍コンテンツを利用したことはありますか?」という質問には、スマホ向け電子書籍コンテンツの利用経験者の3人に1人が「ある」と回答した。また、「興味のある内容であれば、有料コンテンツを利用することに抵抗はないと感じますか?」という質問には88%が「そう感じる」と回答、「紙の書籍よりもリーズナブルであれば、有料コンテンツを利用することに抵抗はないと感じますか?」という質問にも82%が「そう感じる」と答えた。

 一方で「電子書籍リーダーを持っていますか?」という質問をしたところ、「持っている」と答えた人は7%だった。持っていない人の中で「具体的な購入予定がある/購入を検討している」人も11%にとどまった。「電子書籍リーダーの購入を検討していない」人に理由を聞いたところ、最も多かった回答は「スマートフォンで代替できるから」で41%だった。

 世代・トレンド評論家である牛窪恵氏は、「手のひら読書」を楽しむ人が増えている背景と今後について次のように説明する。

 「早い段階から書籍をインターネットサイトで購入する習慣があった米国などでは、電子書籍リーダーが普及した。日本では出版社が電子書籍市場への参入に慎重だったこともあり、さほど浸透しなかった。いっぽうスマートフォンが普及したことで、あらゆるエンタメをスマホ1台で賄う人が増えた。特に今の20代は、中高生時代から『ケータイ小説』などを読んでいた。彼らを中心に、ケータイ(スマホ)で書籍を楽しむ『手のひら読書』が一般化しつつある」

 「日本でも今後、電子書籍のコンテンツは増えていくはず。あらゆるジャンルのコンテンツが充実していくだろう。電子書籍ならではの『音声入り』といった特長を持つコンテンツも登場してくると予想される。その際、軽くて持ち運びやすいスマートフォンは便利だ。今後、スマホに特化した電子書籍サービスが増えるにつれ、『ケータイ小説』に慣れた世代はもちろん、その他のスマホユーザーの間でも『手のひら読書』を楽しむ流れが加速していくだろう」


「手のひら読書」を楽しむための注目サービス
●マンガ:コミックシーモア…マンガを中心に豊富なラインナップを展開する、日本最大級の電子書籍サイト。『ONE PIECE』『キングダム』『マギ」など、映画やアニメになった人気マンガも多い。毎週新刊が入荷されている。ガラケー時代からサービスを提供している老舗電子書籍サイトで、「1巻無料」や「半額セール」などお得なキャンペーンも随時展開している。
●マンガ:eBook Japan…マンガを中心に15万冊以上の電子書籍を販売している。マンガの保有は世界最大級。
●小説:電子文庫パブリ…さまざまな出版社が参加し、日本電子書籍出版社協会が運営主監する、読み物を中心とした電子書籍の購入ストア。文芸、ミステリー、歴史小説、エッセイ、児童文学、ドキュメンタリーと、さまざまなジャンルの書籍を取り扱う。
●雑誌:マガストア 電子雑誌書店…日本最大級の電子雑誌アプリ。書店やコンビニで販売される雑誌のデジタル版を購入し、そのまま読むことが可能だ。

調査概要
●調査期間:8月30日~9月2日
●調査方法:インターネット
●調査実施機関:楽天リサーチ
●調査対象:20~30代
男女500名
スマートフォンユーザー

《高木啓》

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