「食料自給率を上げるべき」約9割の理由……自給率向上の策
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■高い“安全”志向と裏腹、「安全な食品を選べている自信がある」は1%未満
調査期間は8月8日~12日で、23歳~54歳の女性500名から回答を得た(既婚、かつ、子供がいる人・長子の年齢で均等割り付け)。まず、母親たちに食料自給率への関心度について聞いた結果、「日本の食料自給率に対して関心がある」という母親は73%、「日本の食料自給率は低いと思う」という人は93%にものぼった。また「日本の食料自給率の今後」について聞くと、87%が「上げるべき」と回答している。
次に「日本の食料自給率はどの程度だと思いますか?」と選択肢式の質問を行ったところ、「約40%」と正解を選んだのは、わずか16% で、正しく認識している母親は6人に1人もいないことが明らかとなった。「食料自給率の向上のために効果的だと思う取り組み」では、「効果的だと思う」を選択した母親がもっとも多かったのは「地産地消を心がける」(93%)だった。以下、「国産の野菜を優先的に利用する」(92%)、「国産の穀物を優先的に利用する」(92%)、「旬の食材を食べる」(91%)、「国産の肉を優先的に利用する」(88%)などが続いた。ただし、大豆はほぼ外国産のため必ずしも食料自給率向上には寄与しない「大豆を使った和風の調味料を利用する」(71%)が効果的だという人が多い一方で、効果的な「ご飯をお代わりする」(45%)が過半数を割るなど、食料自給率の向上策について十分な理解には至っていなかった。
また「子供が生まれてから、食品の選び方は変わりましたか?」とたずねたところ、88%もが「はい」と回答。さらに、 子供が生まれてから重視するようになった食品を選ぶときのポイントを聞くと、「安全性」(83%)にもっとも支持が集まる結果となった。そして「子供の安全のためには、どのような食品を選ぶべきだと思いますか?」と聞いたところ、「無添加食品」(55%)、「無農薬・低農薬の食品」(52%)といった回答を抑えて、「国産食品」(73%)がトップとなっている。
なお「国産食品」と「輸入食品」のイメージでは、「安全性が高いと思うもの」については、9割近く(88%)が「国産食品」と回答したが、逆に「値段が安いと思うもの」は、「輸入食品」と回答した人が8割(79%)を占めている。また食品を選ぶ際、「安全」と「価格」のいずれを重視しているかを聞くと、「安全重視」という人は59%、「価格重視」という人は41%。「安全な食品を選べている自信はありますか?」とたずねると、「ある」と答えた人はわずか1%だった。
■ハ―・ストーリィ代表と料理研究家に聞く、食料自給率アップ策
今回の調査では、食料自給率に関心を持ち、国産食品に対して“安全安心”といったメリットを感じている母親たちの様子が明らかになったが、その実状はまだまだだと言える。これに対し、ハー・ストーリィの代表取締役を務め、主婦の消費者心理に精通するマーケッターとしても知られる、日野佳恵子氏は、「一家の“食卓”と“お財布”を守る母親たち、重要なのは安全性と価格のバランス」だと指摘している。
日野氏によると、「体は食品でできていますが、生活はお金でできています。消費者というのは、合理的なものです。安全性と価格、その両方のバランスを見て、母親たちは食品の選択を行います」と前提を説明した上で、日本の食料自給率の低さは、「国産食品の安全性に、価格以上の価値を感じてもらえていない結果だ」と結論づけている。そのため、産地や賞味期限について明確にし、“国産品であれば安全だと思ってもらえるようにすること”さらに“「作り手の顔が見える」取り組みを上手く取り入れること”が、国産食品のニーズにつながる重要なポイントだとした。
またテレビ番組にも多数出演する料理研究家の土井善晴氏は、「食料自給率向上は、日本の食の安全確保、日本人の自立、自分が食べる物・家族が食べる物に責任を持つことにつながり、日本の食文化を守ることにつながる」という考えを述べた。食料自給率は高ければ高いほど、日本の伝統が守られていることになるため、「食の安全、栄養や健康をみちびく食料自給率の向上を望むならば、日本の伝統、日本人のアイデンティティを築いた日本の食文化を学び、再認識することが、結果として食料自給率につながる」とし、“学生や生徒への食文化教育”を行うべきだとした。
そして具体的に、「家庭の主婦ができる食料自給率向上策」として、「地元の食材と遠くから運ばれてきた食材は何が違うのかを考える」「それぞれの土地の暮らしのなかで育まれた食文化に自信を持つ。日本人ならではの価値観である“旬”を守ること」「“ご飯”を中心とした“手作りの食事”を基本とすること」をあげている。
《冨岡晶》
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