“モノづくり革命”進行中!3Dプリンタの原理・種類・メリットを徹底比較!!(前編) | RBB TODAY

“モノづくり革命”進行中!3Dプリンタの原理・種類・メリットを徹底比較!!(前編)

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講師を務めた大塚商会 CADプロモーション部 三本正一氏
講師を務めた大塚商会 CADプロモーション部 三本正一氏 全 4 枚
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 10月9日、大塚商会本社ビルにおいて「3Dデータ活用 Solution Fair」が開催された。3Dプリンタは現在、デザイン力や品質の向上、開発期間の短縮など、試作内製化ツールとして注目されている。その盛り上がりとともに、各メーカーから多数の製品が発売されているが、主要製品の市場動向や事例、導入効果、製品の選定基準などを踏まえた上で、最適な3Dプリンタを選びたい。そこで本レポートでは、大塚商会CADプロモーション部によるセミナー「3Dプリンタを活用したものづくり最新事情」の内容を報告する。講師は大塚商会 CADプロモーション部 三本正一氏が務めた。

■買うなら今でしょ!3Dプリンタによるモノづくり革命が進行中

 ここ最近、3Dプリンタが注目を浴びている。2012年にはガートナー社が先端技術の1つとして3Dプリンティングを挙げ、米国でも大変な盛り上がりを見せているという。大塚商会の三本氏は、3Dプリンタ活用の最近の動向について触れた。

 たとえば米国のオバマ大統領は、製造業の強化政策の一環として3Dプリント技術に特化した研究機関の設立を発表し、今後4年間で1000もの学校に3Dプリンタを導入、初等教育からの活用を推進するという。3Dプリンタによって、少量多品種の販促物やコーポレートギフトを受注し販売する専門店も相次いでオープン。また、家電補修パーツの作成、趣味の玩具まで幅広い3D造形サービスが動き出しているそうだ。

 このような動向はビジネス面だけに留まらない。低価格なパーソナルレベルの3Dプリンタの出現により、特別な製造設備がなくても、アイデアさえあれば誰でも「1人メーカー」になれることから、趣味層も含めて「MAKERS」と呼ばれる人々が活躍を始めており、まさに3Dデザイン時代のモノづくり革命が進行していているところだ。

 各メーカーから様々な3Dプリンタが発売されているが、多くの製品中から最適な3Dプリンタを選ぶには、どのような基準でみていけばよいのだろうか?三本氏は、3Dプリンタ選びの前に、3Dプリンタの「基本の基本」から説明した。そもそも3Dプリンタは、3Dモデルのデータを基にして、モデルのスライスデータを1層ずつ積み上げることで試作品や実物モデルをつくる積層造形機の1つと位置づけられている。「かつては試作品(Prototype)を高速(Rapid)につくる“RP”(Rapid Prototyping)と呼ばれる手法として重宝されてきたが、いまは付加価値を与える造形という意味で“AM”(Additive Manufacturing)という呼び方に変わってきている」(三本氏)。

 ワールドワイドでの導入台数を見ると、1988年から2012年までの累計で約5万7000台だが、2012年単体で観ると7761台と伸びてきており、売上げも約22億USドルと前年比28.6%も伸びている。国別に見ると、米国、日本、ドイツ、中国の順に導入が進んでいる。

■各種3Dプリンタのメリット・デメリットとは?

 さて積層造形機には、3Dプリンタだけでなく他のマシンもある。「たとえば紫外線(UV)硬化型の樹脂材料を固めて造形するSLA方式(Stereolithography)の光造形機や、金属やプラスチックの粉末をレーザーで焼き固めて造形するSLS方式(Selective Lasar Sintering)のレーザー粉末焼結(5000万円~)もある」(三本氏)。これらと3Dプリンタの違い、メリットとデメリットは何だろうか?

 まず光造形機は、いろいろな樹脂に対応し、微細かつ高精度な試作品や、透明度のある造形が行なえるメリットがある。その一方でシステムが3000万円からと高価であり、運用面でも専用造形室や付帯設備が求められるほか、サポート材の設計などのオペレータも必要だ。またレーザー粉末焼結の場合は、レーザーで焼結するため、従来の切削では製作できない形状の試作品もつくれるし、最終形態の製品造形が可能だ。しかし、こちらもシステムは5000万円からと手が出しずらい。運用も光造形機と同様、専用造形室や付帯設備などを用意しなければならない点もネックだ。
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《井上猛雄》

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