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【新連載・「視点」】食へのこだわりが、ビジネスに繋がった!メディアに徹した「おとりよせネット」

エンタープライズ 企業
アイランド代表取締役社長の粟飯原理咲(あいはら りさ)氏
アイランド代表取締役社長の粟飯原理咲(あいはら りさ)氏 全 4 枚
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■メディアに徹するということ

「飽くまでもメディアに徹しようと思いました。売上げを伸ばそうと思うなら、自分たちで商品を販売したほうがいい。メディアがやりたいという明確な思いがない限り、この業態をやることはないでしょう」(粟飯原氏)。

 実は「おとりよせネット」は、サイトで商品を1品も販売していないのだ。そこでは商品の評価をしているだけで、ユーザーはショップの独自ドメイン(一部楽天などショッピングポータルを含む)へ誘導され、そこで購入する形となっている。

 オンラインショッピングでは楽天に店舗を持つショップもあるが、ほとんどが独自ドメインに送客できる手段を持っていない。また、ショップのなかには楽天だけに頼りたくないという思いもあるという。ここが、同社が狙うビジネス市場の穴かもしれない。また、「おとりよせネット」を訪問するユーザーは目的がはっきりしているためCPA(Cost Per Acquisition)が高い、という点も強みだ。楽天への送客だけを見ても、昨年比で200%の伸びとなっているという。

 もともと粟飯原氏は理系の出ではない。文系出身でパソコンを触ったこともないままNTTコミュニケーションズの先端ビジネス開発センタに配属になった。「当時は電子マネーがすごく流行っていて、スマートキャッシュとかXMLとかの実証実験を行っており、私自身もオンラインショッピングシステムのマーケをやっていました」。その後リクルートに移り、新規事業を考える部署で1年間企画の仕事に就いた。考えた企画は時期尚早と判断され、サービスインできなかったが、同時期にオールアバウトが立ち上がり、マーケティング兼広報として出向。ここで3年間勤務した。

 新卒からショッピングやマーケティングの仕事にかかわってきた粟飯原氏は、今後はオンラインショッピングが伸びていくだろうとの肌感覚を持っており、お取り寄せビジネスをやってみたいという思いが強くなっていったという。と同時に、自身が食の分野に興味があったため、仕事とは別にグルメの食べ歩きサイト「OL美食特捜隊」を立ち上げた。これがうけ、口コミによりメルマガ会員が3万人に成長。この「OL美食特捜隊」にお取り寄せのコーナーがあり、Q&Aや情報交換が活発になされていたのだ。このコーナーを見ているうちに、絶対にニーズがあるとしみじみ感じたと話す。

「レストランはすごく数があるので、そのなかから自分に合ったものを選択するという市場は盛り上がっていくだろうと感じてるとともに、お取り寄せの世界でも同じことがおきるだろうと思いました。インターネット上のありとあらゆるところでモノを売り出したら、売っているものが多すぎて選べなくなる。そこではメディアが重要になってくるだろうと」

 粟飯原氏は、自分たちがものを売ってしまうと客観性が持てなくなる。客観的にメディアとして運営していきたい、と話す。

 しかし、疑問は残る。ユーザーにとって、お取り寄せに値する気に入った商品を売るショップを見つけたら、そのユーザーは次からショップのドメインで直接購入するようになり、「おとりよせネット」は1次紹介所となってしまうのではないか?と。これに対しては、次のように断言する。「男性と女性とでは行動に違いがあります。男性は気に入った店にずっと通い続ける。一方女性は次々と店を開拓したいという思いが強いんです。お取り寄せも同じで、いろんなところで食べ比べをしたいんですね。A店に行ったら、今度はB店に行ってみようという具合に、皆がホッピングしていると、(おとりよせネットのようなサイトは)維持していくことができるんです」

 現在ユニークユーザーは月間20万人。ここを増やしていくのが課題となっている。

 当初3名ではじめたアイランドという企業は、いまや常駐で20名にスタッフがおり、在宅スタッフも含めると50名の所帯になっている。今年、ユーザーイベントができるキッチンスタジオを企業に併設。オンラインショップの素材を使ってフルコースを作って食べてみる、お取り寄せで人気の素材を使った調理法を学ぶ、などリアルな交流の場となっている。
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《RBB TODAY》

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