出世・昇給が早い「日本耳」とは?…今からでも鍛えるのは遅くない、かも | RBB TODAY

出世・昇給が早い「日本耳」とは?…今からでも鍛えるのは遅くない、かも

エンタメ 調査
音から視覚的な想像力を働かせられるか
音から視覚的な想像力を働かせられるか 全 16 枚
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 精神科医の名越康文先生によると、日本人と欧米人は情報処理の仕方に違いがあり、日本人は音を全脳的に捉え、音からビジュアルを想像したり、感情をつかんだり、音によりその場の状況を判断する力に長けているそうだ。

 ソニーマーケティングと、マーケティングリサーチをおこなうネオマーケティングが、20~50代の男女500名を対象に聴感覚の共同調査を実施したところ、日本人には敏感かつ繊細に音を感じ取り、音からさまざまなイメージを描く能力「日本耳」を持っている人がいることがわかった。調査結果によると、「日本耳」を持っている人は想像力豊かであり、音から視覚的な想像力や相手の感情、温度感や情感まで読みとれるという。

■「日本耳」の定義…約10人に1人

 今回の調査では「日本耳」を7項目の質問によって定義した。被験者が質問項目を0~2点の3段階で自己評価し、合計点を高:10~14点、中:5~9点、低:0~4点に分け、最も点数が高い群を「(客観的)日本耳」と定義した。

「日本耳」の客観的評価の7項目
(1)音をきちんと聞く力がある
(2)音からその場の環境や状況を把握する力に長けている
(3)耳を澄ませてきちんと音を聞く
(4)「雑多な音」から必要な情報を聞き分けられる
(5)人と話していても、その話以外の音が聞き分けられる
(6)英語を聞いた時、意味が分かるかを別として単語自体を聞き取れる
(7)漫画を読む時、擬音と言葉を「一緒に感じる」(音を全脳的に捉えることができる)

 「高」である「日本耳」を持っている人は9.4%(47人)だった。敏感かつ繊細に音を感じ取り、音からさまざまなイメージを描く日本人固有の能力を、約10人に1人が持っているわけだ。「中」は42.8%(214人)、「低」は47.8%(239人)だった。

■「日本耳」を持つ人は出世が早い。コミュニケーション能力の高さが要因

 働いている人(259人)を対象に職場での出世・昇給の早さを確認すると、「出世・昇給が比較的早い」と感じている人の割合が、全体では35.9%いるのに対し、「日本耳」を持っている人では56.0%に上った。いっぽうコミュニケーション能力については、同能力に関するの7項目全てにおいて、「日本耳」を持っている人は全体結果を10~30%上回る数値となり、このことが出世・昇給と関係があると推察される。

■音質にこだわって音楽を聞くと、加齢に反して聴く力を育てていける

 音楽を聴くとき機材(環境)に対する“こだわり”では、全体では30.8%がこだわるのに対し、「日本耳」を持っている人では7割以上(72.3%)がこだわっている。音質についても同様で、「日本耳」を持っている人の83.0%が「こだわる」と答えており、全体(48.0%)を大きく上回る。

 「日本耳」を持っている人では、聴く力が、数年前の若い頃よりも、現在増していると感じている人が多いこともわかった。逆にそれ以外の人は、ここ数年で聴く力が減少してる自覚がある。聴力は年齢と共に低下すると言われるが、感性や想像力などに関連する「日本耳」は、機材や音質にこだわって音楽を聴くことで、加齢に反し育てていける可能性があるのかもしれない。

■繊細な音を楽しむことの有意性

 今回の調査結果から音環境コンサルタント、音楽心理カウンセラーの齋藤寛氏は、現代においてこの「日本耳」が減少していることを指摘する。「日本文化を様々な点で発展させ、築いてきた『日本耳』が失われていくのは忍びないと思います。豊かに暮らしていく上で、五感が優れているに越したことはありません」。

 しかし「日本耳」を育てる、取り戻す方法があるという。「日々の生活で、出来る限り本来の音を忠実に再現する『高音質』に触れ、繊細な音に耳を澄ませ、想像力を広げる楽しみを持つことが重要です。「日本耳」を育て、守ることは、日本人ならではの感性や意識を守り育てるという視点からも大切だと考えます」。

■音楽プレーヤーのこだわりとも一致

 いっぽうオーディオや音楽プレーヤーのメーカーは今回の調査をどう見るか。『ウォークマン』のメーカー、ソニーのホームエンタテインメント&サウンド事業本部商品企画部門の小野木康裕氏は「『日本耳』の持ち主は、音楽を聴くときの音質や機材(環境)にこだわりを持っていることがわかりましたが、これは私たちのこだわりと合致しています」と喜ぶ。

 「ウォークマンは、楽曲製作者が意図した音や楽器本来の音の響き・臨場感を忠実に再現することが、高音質へのこだわりであると考え、より一層の臨場感あふれる音楽体験を提供しています」。

■高音質は「日本耳」を育て、経済的な豊かさにも関連性がある?

 このように今回の調査で、音楽を高音質で聴くと、日本人のコミュニケーション能力、創造性の向上に好影響があり、「日本耳」を育てる効果があること、また「日本耳」を持つことは、日常生活でも出世や昇給など、経済的な豊かさにも作用する可能性が推察された。


調査概要
●実施時期:2013年10月16日(水)~17日(木)
●調査手法:インターネット調査
●調査対象:全国20~50代の男女、500名

《高木啓》

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