【木暮祐一のモバイルウォッチ】第41回 Google Nexus 5 発売開始、SIMフリースマートフォンはどう受け入れられる? | RBB TODAY

【木暮祐一のモバイルウォッチ】第41回 Google Nexus 5 発売開始、SIMフリースマートフォンはどう受け入れられる?

IT・デジタル スマートフォン
Google Nexus 5
Google Nexus 5 全 8 枚
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 Googleから、Androidスマートフォンのスタンダード版ともいうべきNexusシリーズの最新スマートフォン「Nexus 5」が10月31日よりGoogle Playで発売開始となった。また11月15日からはイー・モバイルでも取扱いを開始しており、イー・モバイル版ではソフトバンクの回線も利用する「EMOBILE 4G-S」に対応している。

 これまでもわが国でNexusシリーズは入手できたが、直近モデルのNexus 4はわが国での発売が遅れに遅れ、つい先日の8月30日に発売されたばかりだった。しかもNexus 4はLTEに対応していなかったため、ほとんど話題にならなかった。しかしこのほど発売開始されたNexus 5はLTEにも対応し、また最新OSであるAndroid 4.4(KitKat)を他の端末に先駆けて搭載ということで、各所で注目を集めているところだ。

 このNexusというシリーズは、Googleが「リードデバイス」と呼んでいる端末である。いわば、Googleが示す“素のAndroid端末”である。メーカーやキャリアによるカスタマイズが一切施されておらず、Androidの基本を味わえる端末だ。これまでは最新OSを搭載することで開発者向けのリファレンスという位置づけのイメージがあったが、Nexus 5ではスペックも必要十分、LTEにも対応することで、一般のユーザーも満足できるモデルに仕立てられている。製造メーカーはLGエレクトロニクスだ。

 Nexus 5のディスプレイは4.95インチ、フルHD(1920×1080ドット)。カメラは8メガピクセルながら、光学式手ぶれ補正に対応。チップセットはSnapdragon 800シリーズで、2.26GHzで駆動。バッテリーも2300mAhと必要十分なパフォーマンスである。端末カラーはブラックとホワイト。ブラックの背面はラバー状な素材を使ったマットな仕上げになっている。一方のホワイトはさらりとした仕上げで手に握った際の感触も異なる。多くのスマートフォンはプラスチックっぽい素材のものが多く、塗装面の色合いは綺麗だが手から滑りやすい。Nexus 5は派手さこそないが握った際に手に馴染む感じだ。

 Nexus 5は“素のAndroid端末”だけに、ワンセグや防水といった日本向けモデルに多い独自機能や、余計なアプリは無い。購入した状態であれば、極めてすっきりしたスマートフォンに感じられるはずだ。このNexus 5をどういう目的で活用し、そのためにどのようなアプリを動作させるかはユーザー自身が判断しカスタマイズしていくという考え方だ。ただし、Google関連サービスの機能はしっかりと搭載され、使いこなしやすいよう配慮されている。特に、現在地の天気予報や次のスケジュール、関連情報などを表示する「Google Now」は、ホーム画面一番左に配置され、すぐに呼び出せる。「Google Now」は、Google自身が今後一層力を入れていくサービスであることを感じさせる。

 参考までにGoogle Nowというのは、Gmailやカレンダー、連絡先等の情報から、ユーザーが次に起こすであろうアクションを予測し、ユーザーが求めているであろう情報をカードで提示してくれる機能だ。たとえば天気のカードであれば、現在地はもちろん、次に移動しそうな場所を予測し提示してくれる。航空会社からの受信メールから判断したのだろうが、次の搭乗便を表示してくれるだけでなく、その便の遅延情報や搭乗ゲートまで表示してくれる。考えようによっては個人情報がGoogleに把握されまくっているのが恐ろしいところだが…。今後、Google Glassなどが発売されれば、きっとこのGoogle Nowがキラーコンテンツになるのであろう。

 すでにNexus 5の詳細なレビューが各所に寄稿されているようなので、ここでは省略するが、筆者が一番注目しているのはSIMフリーのスマートフォンが簡単にWebからの注文で購入できるようになったことだ。もちろん海外の通販サイトからSIMフリーのスマートフォンを購入することは可能であったが、その場合、技術基準適合証明/技術基準適合認定が無いために違法になる可能性があるとか、サポートを受けられないなど、一般の消費者が手を出せるものではなかった。しかし、Googleが日本で正規に販売するNexusシリーズはこうした課題をクリアし、手軽に“端末だけ”を購入できる仕組みを示してくれた。これに反応したものとも思わないが、GoogleのNexusシリーズの販売に続くごとく、11月22日からアップルがiPhoneのSIMフリー版を同社オンラインストアで販売開始した。Googleとアップルという2大企業が日本国内において自らSIMフリー端末の販売に乗り出したことは、わが国のスマートフォン販売に今後大きな変化をもたらしていくのではないかと見ている。SIMカードのみを提供するMVNOの動向を含め、しばらくは目が離せない状況だ。

《木暮祐一》

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