シップ一枚にもデザインの可能性…久光製薬の取り組み | RBB TODAY

シップ一枚にもデザインの可能性…久光製薬の取り組み

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グッドデザイン賞を受賞した久光製薬の『フェイタス』
グッドデザイン賞を受賞した久光製薬の『フェイタス』 全 6 枚
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 2013年は大賞が「該当なし」というハプニングが発生した「グッドデザイン賞」だが、久光製薬のシップ薬『フェイタス』、『のびのびサロンシップ』の2商品がグッドデザイン賞を受賞している。

 「デザイン」と聞くと、モノの見た目の美しさや斬新さを想像する人も多いかと思うが、「グッドデザイン賞」は、家電やクルマなどの工業製品から、住宅や建築物、各種のサービスやソフトウェア、パブリックリレーションや地域づくりなどのコミュニケーション、ビジネスモデルや研究開発まで、有形無形を問わず人によって生み出されるあらゆるものや活動を、その受賞対象としている。

 それゆえデザイナーの仕事も、普段の生活の中で誰もが感じている、製品やサービスに対する思いや考えに、カタチや仕組みを与えることがその仕事とも言え、それはモノやサービスの数だけデザインに関わる人たちがいるということになる。

 シップ1枚のデザインにこだわり、「フェイタス」「のびのびサロンシップ」の2製品がグッドデザイン賞を受賞した久光製薬のデザインに対する取り組みを探った。

●商品開発のポイントは「お客様の声」

 水分を含まない貼り薬は柔らかく貼った時のフィット性が良いが、その反面、貼り薬自体のコシが弱いため、貼りにくく「痛みのある患部からずれることなく、きれいに貼れる」ことを実現させることが課題であった。

 今回グッドデザイン賞を受賞したシップ薬「フェイタス」には、貼りやすさを追求して様々な形状を繰り返し検討した結果「波形3ピースフィルム」が採用された。

 フィルムの中央部を先に剥がすことで、患部にぴったりと貼り、さらに両サイドのフィルムを一枚ずつ剥がすことにより、しわが無く、きれいに貼ることを実現。また、波形のフィルムも、手でつまみやすい適度な波形の高さ、しわが寄りにくい波型の幅など、十数パターンの形状でミリ単位の試行錯誤を重ね、ユーザーにとって使いやすい形状に仕上げている。

 同じくシップ薬の「のびのびサロンシップ」も、ユーザーの実態調査において、不満点のトップにあった「シップがはがれやすい」を改善することに取り組んだ。

 この「はがれやすさ」の要因を追求したところ、着衣時の衣服とシップのこすれが大きく関係していることが判明。衣服のこすれを出来るだけ軽減させるために考案したのがシップの角を丸くした形状が「丸かど」だ。角を丸くするという単純とも思える改良だが、従来品に比べ、良く付着している人の割合が34%もアップしたという。

 さらに「フィルムをはがした際、クシャクシャになってしまう」という声に対しては、フィルムを端からはがすのではなく、両サイドに引っ張るだけでフィルムがはがれるよう中央にミシン目を入れた形状「バリピタシート」を開発。これにより、フィルムを簡単に剥がせ、そのまま患部に貼れるように仕上げた。

●ユーザーの数だけ、開発の可能性がある

 久光製薬は「貼り薬は若い方から高齢の方まで幅広いお客様にご使用頂いている商品です。言いかえれば、当社の商品を使用するお客様の状況、状態も、千差万別ということ。そのため、開発のプロセスにおいては、白内障を再現するゴーグルや、手の自由が利きにくくなる手袋などを使用し、あらゆるお客様視点で商品が使いやすいかを検討しております。当社の商品がすべての人にとって、いつでも使いやすいものであるように。商品開発への思いはここに集約されております」とプロダクトデザインへの思いを語る。

 そして今回のグッドデザイン賞受賞に関して、久光製薬は「今回の受賞は、当社が掲げております“貼って手当てすることの良さをお伝えしたい””貼って手当てすることに驚きと、安らぎと、感動があることをお伝えしたい”という企業使命のもとに行ってきた活動が評価されたものであり、今後も更なるお客様のQOL(生活の質)向上のため、継続して商品の開発・改良を進めて参りたいと存じます」と、今後の意気込みを示した。

《編集部》

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