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「見える化」効果は絶大!……ヤマハの無線LANアクセスポイントを導入

エンタープライズ ハードウェア
イード 情報システム部の二人
イード 情報システム部の二人 全 8 枚
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 WLX302のスペックを確認しておくと、搭載されるプロセッサはARM系のCPUで1.2GHzクロックで動作する。RAMは256MB、フラッシュメモリも256MB搭載し、ドライバソフトも1台あたりのスループットが落ちないように最適なチューニングが施されているとのこと。

 APとしてはオーバースペックともいえる設計になっているのは、スループットなどパフォーマンスのためだけではない。機器の管理、設定、運用をサポートするための管理画面やアプリケーション機能、つまり機器の「見える化」のために必要なスペックでもある。

 以前のシステムでは、機器が反応しなくなるトラブルの際、APの状況がモニタリングできず、ログもうまく残っていないことが多く、トラブルの原因究明が完全に行えなかった。WLX302は稼働中のAPについて、チャネルの利用状況やトラフィックのグラフ表示の他、接続されている端末のリンク速度、接続状態、再送率、CRCエラーなどが細かく確認できる。

 また、ログ機能には、特定の状態をイベントとして登録して記録する機能もある。例えば、CRCエラーの発生率が40%を超えたらワーニングを上げてログを残す、というような設定ができる。見える化は、「障害やトラブルの原因をつかむためには絶対必要な機能」(馬場氏)とのことだ。

■手動リブートから解放され、モバイルデバイスも個別管理が可能に

 WLX302を稼働させた結果、実際に効果はあったのだろうか。杉山氏によれば「まず、APが反応しなくなる問題はなくなりました。手動でAPをリブートして回るような作業からは解放されました。複数接続でスループットが損なわれないパフォーマンスを重視した結果だと思います。また、クレームや障害が上がってきたときも、APの問題なのか、端末の問題なのかを管理画面ですぐに確認できるので、問題の特定や対策がやりやすくなりました」と、状況改善の効果を説明する。さらに、イベントログなどと併用して分析すれば、時間的な問題や場所的な問題の特定もしやすくなるそうだ。

 また、WLX302には、リンク速度によって接続するチャネルプロファイルを設定する機能もある。Wi-Fiは規格や認証マークの規定から、リンク速度が遅くても接続させなければならないため、一般的なホットスポットやAPの設定はどんな端末も分け隔てなく接続しようとする。しかし、混雑具合や電波状況によって遅い端末の接続を制御できれば、混雑緩和やつながったが安定しないといった不安定な接続を減らすことができる。

 例えば、1Mbps以下のリンク速度しかでないようなら、その端末は接続させないといった制御が可能となる。オープンなサービスではやりにくい制御だが、オフィスの無線LANなら運用でカバーできる範囲だろう。この設定は2.4GHz、5GHz両方について設定できるようになっている。

 さらに、「管理画面の各種機能も便利ですが、コマンドラインのサポートもありがたい部分です。パラメータの設定変更など、同じような操作を繰り返す場合、マウスでクリックしたりキーボードで値を入力したりが大変ですが、コマンドラインが使えるとバッチ処理が可能なので助かっています」(馬場氏)と、Telnetによるコンソール画面へのログインができることも評価ポイントとして挙げてくれた。

 この他、管理画面で設定しているAP本体がどれかを判別する「ここです」機能も特徴的。管理画面上の「ここです」ボタンをクリックすると、設定中のAPのLEDが点滅する。これは本体設置、レイアウト変更、メンテナンス、展示会などでの設置やデモに便利な機能と言えるだろう。

■今後はAD連携や端末管理機能に期待

 今回のAPリプレースで、一定の導入効果はあったようだが、課題や今後に期待する機能などはないだろうか。「弊社ではNPSサーバをRADIUSサーバとして利用していますが、ActiveDirectoryと直接連携できれば導入する際にハードルが下がります」(馬場氏)。「Interopで参考展示されていた、デバイスのプロファイル設定など端末管理機能はよいと思ったので早く試したい」(杉山氏)との声があった。

 次のアップデートでは、無線LANコントローラー機能、範囲指定型自動チャンネル選択機能、 自動チャンネル変更機能、電波出力自動調整機能、WDS機能などが追加されるという。例えば、無線LANコントローラー機能では、最大16台(1台をコントローラーAP、15台がメンバーAP)のWLX302をひとつのグループとして、制御や管理を行えるようになる。グループ内の接続端末情報もコントローラーAPで一覧できるようになるなど、複数台の運用・管理が簡単になるだろう。

 なお、ヤマハのサポート体制では、ファームウェアのアップデートは原則無料で行われる。ActiveDirectory対応や端末管理機能も含め、今後のアップデートにも期待したい。
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《中尾真二》

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