ソニー、テレビ事業は分社化……構造改革に伴い計5000名の人員削減も | RBB TODAY

ソニー、テレビ事業は分社化……構造改革に伴い計5000名の人員削減も

エンタープライズ 企業
ソニー代表執行役社長 兼 CEO 平井一夫氏
ソニー代表執行役社長 兼 CEO 平井一夫氏 全 4 枚
拡大写真
 ソニーは6日、同社の2013年度第3四半期の業績説明会を開催。VAIOブランドで展開するPC事業の国内投資ファンド日本産業パートナーズへの譲渡、テレビ事業の分社化など構造改革の内容に関連する発表も行った。

 説明会には代表執行役社長 兼 CEOの平井一夫氏、代表取締役EVP CFOの加藤優氏、ならびに常務執行役員SVP 広報センター長の神戸司郎氏が列席した。

 第3四半期の売上高は前年同期比23.9%増となる2兆4,128億円、営業利益は前年同期から94.6億円増の903億円、四半期の純利益については、前年同期の108億円の損失に対して270億円の利益を計上した。

 コア事業であるゲーム分野では、海外で先行発売されている「PlayStation 4」がハード・ソフトともに売上好調。当年度第1四半期から好調が続くスマートフォン・タブレットのモバイル事業も、前年同期比で大幅な増収となり損益改善を後押しする要因となった。

 連結売上高、および営業利益は、半導体や電池などカテゴリーが含まれるデバイス分野を除くエレクトロニクス4分野の業績が改善されたことに加え、金融・エンターテインメント事業の好調により、前年同期比で大幅な増収増益になる。一方で、13年度通期の見通しとしては、当第3四半期に減損や評価減が計上されたことに加え、事業の収益改善に向けた追加構造改革費用が積まれたことなどにより、10月時点での想定を下回り、当期純損益は1,100億円の赤字を見込む。

 平井氏は「当社は12年4月に発表した変革プランを実施しながら、イメージング、ゲーム、モバイルの3つの"コア事業”を基軸に成長の礎を築いてきた。一方で、PCとテレビ事業については収益改善を図るために様々な改革に取り組んできたが、目標としてきた13年度の黒字化達成は困難だとみている」としながら、将来を見据えた成長と安定化を加速させるためとして、さらなる構造改革のプランを発表した。

 1997年から展開してきた「VAIO」ブランドのPC事業については、国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(以下:JIP)に譲渡することを発表。今年3月末までに正式契約を締結し、JIPが設立予定の新会社がVAIOブランドを冠するPC事業の企画・設計・開発、および製造・販売など全体の事業を運営していくこととなる。

 新会社はJIPの出資と経営支援のもとに設立・運営されるが、立ち上げと円滑な事業移行をサポートするためとして、当初はソニーが5%の出資を行う。経営陣については、現在ソニーでVAIOの事業を統括する赤羽良介氏を中心に構成される。新会社は現在ソニーのPC事業の拠点である長野テクノロジーサイトを拠点とし、当初はソニーと国内の関連会社に従事している社員を中心に250~300名体制で操業する。

 VAIOのブランドについては新会社の商品に移行継続され、当面は国内のみで商品が展開される予定。ソニーでは2014年春モデルを最後にPC事業を収束するかたちになるが、以降も販売済みのソニー商品については当面ソニーがアフターサービスを継続提供する。

 テレビ事業について平井氏は「2011年11月に発表した収益改善プランに沿って、液晶パネル関連をはじめとしたコスト改善を実現、商品力強化とオペレーションも改善したことから、11年度に1,475億円を計上した損失が、12年度に696億円に縮小、今年度は250億円程度にまで圧縮できるだろう」と説明し、黒字化への取り組みが一定の成果を上げていることを強調した。しかしながら、今後もグローバル化が加速するビジネス環境の中で、効率的でスピーディーな事業体制を整えて行くために、テレビ事業を分社化、完全子会社として運営することで、14年度のテレビ事業の黒字化を達成していくと述べた。7月に設立を計画する新会社の社長には、現ホームエンタテインメント&サウンド事業本部長である今村昌志氏が就任する予定だ。

 これら事業構造の改革プラン発表に伴い、2014年度末までに国内で1,500名、海外で3,500名の計5,000名に及ぶ人員削減を、テレビ・PC事業、並びに関連する販売・製造・本社間接部門で実施することも明らかにされた。構造改革の費用は13年度に約200億円を追加。14年度には約700億円を見込む。一方で「構造改革による固定費削減効果は、15年度以降には年間1,000億円以上になる」(加藤氏)という見込みも示された。

 平井氏は「いまのソニーを改革し、エレクトロニクス事業の改善と成長を促しながら、ソニーグループ全体の経営を安定成長に導くことが私の使命。コア事業であるイメージング、モバイル、ゲームのカテゴリーでは"ソニーらしい”製品が提案できていて、ユーザーからの高い評価を獲得しているという実感もある。今回のPC事業、テレビ事業に関連する決定は容易ではなかったが、事業環境を強化するためにスピーディーな改革が必要と考えた。好調なエンターテインメント、金融分野も含めて、これからもソニー全体で成長分野をしっかりと伸ばしていく。詳しい中期成長戦略は次回の経営方針説明会で明らかにしたい」と語った。

《山本 敦》

特集

【注目記事】
【注目の記事】[PR]

この記事の写真

/

関連ニュース