KDDI、3.5GHz「ダイヤモンドバンド」活用技術を公開……高密度トラフィックに対応
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
3.5GHz帯は、既に同社がLTEで運用している800MHz帯、1.5GHz帯、2.1GHz帯と比べて周波数の高い帯域となる。そのため、プラチナバンドで注目された電波の回り込み、屋内に強い、遠くに届くといった特徴は弱くなる。
一見すると弱点だらけで使いにくい帯域とも思える3.5GHz帯だが、電波が回り込みにくい、すなわち電波の「切れ」が良くなるために基地局同士の干渉を少なくすることができるという。多くの基地局を高密度に配置(小セル展開)できるので、一人あたりのスループットを大きくすることが可能になる。
総務省はこの3.5GHzを全部で200MHz幅割り当てる予定だ。これを各社で分けあっても比較的広い帯域幅が割り当てられると見られ、高速な通信サービスが期待されている。しかし、KDDI常勤顧問の渡辺文夫氏は、「特に都心部などで見られるトラフィックの局所的な急増に対応するために3.5GHz帯を使いたい」と高速化だけにとどまらないことを強調した。
また、同氏は3.5GHz帯をプラチナバンドに対し「ダイヤモンドバンド」と呼んで、「99%の実人口カバー率を持つプラチナバンドのエリアに、小粒でピリッと光るダイヤモンドバンドのエリアを小さく重ねる組み合わせがいいだろう」と述べた。
3.5GHzの小セル展開によって起こる問題として、ハンドオーバー(基地局の切り替え)の頻発がある。基地局が多くなると通信する基地局を切り替えるための信号が飛び交うことになり、今までの技術では対応することが難しいという。今回公開されたのは、この小セル化によるハンドオーバーに対応した「C/U分離」という技術だ。
携帯電話システムでは、端末と基地局の間で私たちがデータとして普段意識するユーザーデータ(User plane)と共に、端末を認識したり接続や切断のために制御信号(Control plane)のやりとりが行われている。従来のC/U分離なしの技術では、ユーザーが移動しハンドオーバーが行われる際にユーザーデータと制御信号が同時に切り替わり、「瞬断」と呼ばれる現象の影響が大きくなりやすかった。C/U分離技術はユーザーデータをハンドオーバーしながら制御信号は常にマクロセルで送り続けるという「分離」を行うことで、移動時の瞬断を減らすことができるという。
今回は、実際にこのC/U分離技術ありとなしの場合で通信への影響をバスに乗って比較するというデモが行われた。1.5GHz帯のマクロセルで制御信号を受けながら、3.5GHz帯のユーザーデータをハンドオーバーするC/U分離技術「あり」の場合と「なし」の場合で、映像の乱れとグラフによる比較が体験できた。このC/U分離技術は3GPPで標準仕様かが進められており、2014年9月に仕様が完成する予定だという。
このほか、電波の見える化を実現するためにシミュレーションでは難しい、ビルなど周辺環境に適した基地局の設置条件やアンテナ形状を選択するための測定装置や電波の干渉情報を効率よく送ることにより、これまでの手法よりユーザー・スループットを50%以上向上させる技術の展示が行われた。
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