むし歯の原因はミュータンス菌! その正体や歯の再石灰化を知る | RBB TODAY

むし歯の原因はミュータンス菌! その正体や歯の再石灰化を知る

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むし歯治療のイメージ 写真提供:Getty Images
むし歯治療のイメージ 写真提供:Getty Images 全 5 枚
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 忙しいことを理由に、食生活などが雑になってしまうこともあるだろう。だからといって、毎日食事を早食いし、歯磨きもしない生活を続けていると、いつしか「肥満&むし歯」で苦しむ日がきてしまうだろう。

 体重増を食い止めて脂肪を落とすには、食事制限や運動など、自分に合ったやり方を検討しながら試していくことになるが、「むし歯」に関しては、むし歯の原因やメカニズム、予防法などがわかれば、すぐにでも対処できそうな気がする。

 そこで、日頃からむし歯と関わっている専門家の代表として、日本フィンランドむし歯予防研究会理事であり、野中歯科の栄養士・歯科衛生士として活躍されている野中奈佳氏に「むし歯の原因」などについてお話を伺った。

――むし歯の原因だといわれる「ミュータンス菌」とは、どのようなものなのでしょうか?

 ミュータンス菌とは、むし歯の原因となる一番の菌です。ミュータンス菌は、歯の表面にしか住めないため、産まれたばかりの赤ちゃんなど歯の生えていない口の中にはいません。

――ミュータンス菌がどのような働きをすることで「むし歯」になるのか、そのメカニズムを教えてください。

 むし歯の原因菌であるミュータンス菌が歯に付着してプラーク(歯垢)をつくり、食べ物の中に含まれる糖質(特に砂糖)を代謝し、プラークの内部で酸をつくります。この酸によって歯の表面のエナメル質が溶かされ、むし歯が発生します。

――エナメル質が溶けた歯を、元の状態に戻すことはできるのでしょうか?

 通常、肉眼では見えませんが、飲食のたびに歯の表面は「脱灰」と「再石灰化」を繰り返しています。「脱灰」とは、飲食物により口の中のPHが下がり、歯の表面からカルシウムやリン酸が溶け出し歯の表面が溶ける現象です。そして「再石灰化」とは、それを元に戻そうとする現象で、唾液の働きなどにより溶け出たカルシウムやリン酸が、徐々に歯に再沈着します。 健康な歯は、この「脱灰」と「再石灰化」が平衡関係の状態にあります。この平衡状態が崩れ、「再石灰化」を上回るような「脱灰」が繰り返し起こると、歯の表面が溶け始めて初期のむし歯が形成され、さらに繰り返すと歯の内部までむし歯が進行することになります。

――つまり、歯の再石灰化が重要なのですね。再石灰化をサポートする方法があれば、教えてください。

 再石灰化を積極的に促したいとき、フッ化物(フッ素の化合物)が一般的に使用されます。ただし、フッ化物による再石灰化は、脱灰層の表層で起きるのですが、キシリトールを使用すると、脱灰層の深部から再石灰化が起きます。歯の表面に穴が開いたようなむし歯は元通りにはなりませんが、歯の表面が白く曇ったように脱灰した初期のむし歯では、フッ化物とキシリトールを併用することで、健康な状態に戻ることもあります。

――キシリトールは「唾液」の分泌を促進する働きがあると聞いたことがあります。むし歯予防において、唾液はどのような役割を果たすのでしょうか?

 唾液には、非常に多くの役割があります。歯科的な役割では、唾液は口の中を洗い流す役目があります(自浄作用)。唾液量が少なくなってしまうと、口の中が汚れやすくなり、むし歯や歯周病、口臭の原因となります。また、飲食によって酸性に傾いた口の中のPHを中性に戻そうとするはたらき(緩衝能)もあります。これにより歯が溶けてむし歯になるのを防ぎます。さらに、唾液にはカルシウムなどのミネラルが豊富で、それらを歯に再沈着させる役割もあります(再石灰化)。そのほか、飲み込みを助ける、喋りやすくする、消化を助けるなど、さまざまな役割があります。「梅干しを想像するとつばが出る」という経験は、どなたにもあると思いますが、唾液量を増やす方法のひとつとして、キシリトールガムやタブレットの摂取があります。ガムやタブレットのように、ある程度の時間口の中にとどまる形状で摂取すると、唾液腺が刺激されて唾液量が増え、むし歯予防に大きな役割を果たします。

――唾液は、むし歯予防に欠かせないものだったのですね。むし歯の原因菌や、むし歯のメカニズムも理解できました。ありがとうございました。


【回答者プロフィール】
野中 奈佳(のなか なか)
野中歯科 栄養士・歯科衛生士/日本フィンランドむし歯予防研究会理事

【監修者プロフィール】
鈴木 彰(すずき あきら)
ベル歯科医院 歯科医師/日本フィンランドむし歯予防研究会会長

田北 ユキヒロ(たきた ゆきひろ)
日本歯学センター 歯科医師/日本フィンランドむし歯予防研究会理事

《ダイエットクラブ編集部》

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