身体に貼り付けられる電子回路……山形大、食品ラップより薄いフィルムで作製
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同センターの時任静士卓越研究教授と福田憲二郎助教らのグループは、2種類のインクを用いた印刷により、世界最大面積(ハンカチ大、約20cm×20cm)で、世界最薄(食品ラップの厚みの10分の1、約1μm=1000000の1m)のフィルム上に、世界で初めてトランジスタ回路の作成に成功した。フィルムを手でくしゃくしゃにしても、また、広げても回路が作動することを実証した。
柔らかく大きな面積のトランジスタ回路を印刷で作成でき、人体の一部、枕、シーツ、衣類に貼りつけても違和感が少ない。将来は、自宅のプリンターで個人のニーズにあったヘルスケア用のセンサー作製への応用も考えられる。
従来のトランジスタはシリコンを用いて作成されており、重く、曲げられず、くしゃくしゃにもできず、また印刷で作製することはできなかった。時任教授と福田助教らのグループはすでに、ポリエチレンテレフタレート(PET。PETボトルの原料)シートの上に、半導体インク(有機)と導電性インク(銀ナノ粒子)の2種類のインクを用いて、印刷でトランジスタ回路を作製できることは報告していた。しかしPETシートの湾曲性は数ミリ程度で、食品ラップフィルムのように柔らかくはなかった。
本研究では、世界最大・世界最薄の電子回路の作製について、ガラス板の支持基板の上に世界最薄のフィルムをまず形成させ、印刷したあとで、ガラス支持基盤から剥離させる手法を開発した。さらに、表面平坦化処理、有機半導体のインクと、電気を流す銀ナノ粒子のインクの2種類を用いたインクジェットプリンティング法で、線幅5μmで印刷することに成功した。また、作製した電子回路を腕に貼りつけ腕を動かしても、トランジスタの作動信号に変化がないことを実証した。
《高木啓》
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