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【連載・視点】秋田美人を産業化する!25歳女性社長の挑戦

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株式会社せん代表取締役 水野千夏さん
株式会社せん代表取締役 水野千夏さん 全 7 枚
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■事業計画書は100回以上書き直した

 「実はすごいミーハーなんですけど、女社長になりたいという夢があったんです」。女性で起業するということに質問が及ぶと、水野さんは告白した。しかし、事業計画を進めるうちに社長になるという意識はなくなっていった。事業を形にし、企業しなければ資金も集まらないという現実は体感した。

 そもそも水野さんの事業は前例がないので難しい。秋田を活性化させたい、そのためにこんなことをやりたいという思いは伝わっても、成功までの具体的なシナリオ・収益作りが大変だ。企画を見せた企業から、時には「意味がわからない」と突き返されることがあった。そのたびに収支計画を作り直した。100回以上は書きなおしているのではないだろうかという。頼りになったのは、同じく市内で社長をしている夫だった。事業計画書を見せては「ぜんぜんダメだ」と言われ、悔しくて毎日泣いていたこともあるという。

 今では協賛企業の懇親会やイベントに出向くこと、飲食店とのコラボによる舞妓プランの作成、旅行会社とのツアー商品などなど、具体的な動きがでてきている。また、最近では酒造組合が株主になってくれた。「秋田には発酵文化がある。日本酒との関わりのなかで新たなビジネスを作っていきたい」と意気込む。

 会社立ち上げにあたり、見習いとして募集した舞妓は当初7人だったが、厳しい稽古についていけず3人が脱落した。現在は舞妓1期生が3人、見習いが1名だ。見習いのうちは給与も支払われないし、客からお金ももらえない。見習い=修行期間なのだ。水野さんは、この舞妓を10人まで育てることを目標としている。今年は舞妓の稽古をしっかりと強化しつつ、ニーズの受け皿作り=事業基盤を作るつもりだ。

 実は、あきた舞子のターゲットは男性ではなく若い女性だ。「若い女性が“それやってみたい”見てみたい”と思うような心をくすぐるような商品を、あきた舞妓を軸にした商品として販売していきたい」と水野さんは話す。

 将来的な目標は舞妓茶屋を作り、こちらから出向くばかりではなく、会いに来てもらうこと。モットーは“会える秋田美人”。舞妓茶屋は秋田の新しい観光施設になればいいと思っている。また、イベントに出向くだけではなく、自分達のためのイベントも考案中だ。

■あきた舞妓は手段にすぎない

 水野さんは特に経営の勉強はしてこなかった。経営にマーケティングを重視しているわけでもない。「マーケティングすることは勉強になるし好きなんですけど、今はそういうのは時間の無駄だと。社員の給料分、商品を作っていこうということしか頭にない。単純にいうと、企業が存続していくために、お金を出してもらえる商品を作るということが大切だ」としている。

 ビジネスを開始するにあたり、最初父親は「起業することにどれだけの責任があると思っているんだ」と反対し、母親も「普通に育てたつもりなのに」と話した。結局、自分の思いが通じで理解してもらうことができたが、仕事の楽しさは今でも塾をバリバリ経営している母親から学んだのかも知れないと水野さんは話す。

 なお、水野さんが本当に目指しているは、秋田に資金が落ちる仕組み作りをすること(活性化すること)だ。舞妓事業はそのひとつにすぎない。「秋田には魅力的なものは数知れずあります。それをうまく活用し、新しい見せ方変えていく」そう話す水野さんは、すでにあきた舞妓の次の事業を計画中だという。
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《RBB TODAY》

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