短い夏を迎える函館を舞台に、愛に恵まれずに生きてきた男女が命をかけて愛し合う姿を描く本作。原作となったのは、およそ20年前の純文学で、何度も「芥川賞」の候補に挙げられながらも、ついぞ光を浴びることなく自ら命を絶った作家・佐藤泰志が残した唯一の長編小説だ。
また、主演を務めた綾野さんは「風が吹いたなって感じです」と喜びを噛みしめる。さらに「佐藤泰志さんに届けられたかなと思います。この『監督賞』をきかっけに日本でも多くの人に届くことを願っています。国と文化を超えてコミュニケーションをとれた実感があり、映画は改めて世界共通語だと思いました」と語る。
一方の壮絶な人生を送るヒロインを演じた池脇さんも、「がらにもなく興奮してしまいました。監督すごくがんばったと思うのでいいご褒美ですね。私もすごく嬉しいです」とコメントを寄せている。
また、今年の同映画祭では吉永小百合が初めて企画担当として参加した主演作『ふしぎな岬の物語』が「コンペティション部門」に出品され、「審査員特別賞グランプリ」と「エキュメニカル審査員賞」のW受賞を果たしている。
『そこのみにて光輝く』はテアトル新宿ほか全国にて公開。