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【木暮祐一のモバイルウォッチ】第58回 次期iPhone、現時点での噂から気になるポイントを絞って予測

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2014年第2四半期 国内スマートフォン出荷台数 ベンダー別シェア(IDC Japan株式会社/2014年9月2日発表)
2014年第2四半期 国内スマートフォン出荷台数 ベンダー別シェア(IDC Japan株式会社/2014年9月2日発表) 全 3 枚
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 日本で販売される、スマホを含む無線通信機器は、電波法に定める技術基準に適合しているかどうかを指定機関で証明し(いわゆる「技適」)、その結果を総務省がWeb等で公示している。この公示内容を見ていくと、どのメーカーがどういった型番で新製品を発売するか予想が立てられると同時に、対応する周波数帯域も分かってしまう。当然、9月に次期iPhoneが発売されるということであれば、発売時点でこの手続きが完了し、証明番号が払い出されていなければならない。さらに言えば、スマホ新製品の発売前には、当然のことながら製品としての通信事業者側の評価やネットワークとの接続性の検証などを行うはず(日本では各通信事業社がアップルからiPhoneを数百万台規模で買い上げる訳であるから、事前に評価や検証などのやり取りがあるのは必然だ)。

 ということで、総務省の過去の公示を辿ってみた。昨年発売されたiPhone 5s(日本向け型番はA1453)とiPhone 5c(日本向け型番はA1456)の認証はどうなっているか。技適の証明および認証ができる複数の機関のうち、アップルは株式会社ディーエスピーリサーチという機関を通じて証明番号を取得していることが分かった。公示内容は総務省のこのページからリンクされている。このうち、株式会社ディーエスピーリサーチの2013年9月前半の公示資料を見ると、2013年9月11日付けでアップルからの申請に対してA1453(iPhone 5s)とA1456(iPhone 5c)の証明番号が払い出されていることが分かる。

 総務省から証明番号が公示されるのは証明日から数ヵ月後になるので、発売直前の申請であれば発売前にその情報が流出することはないのであろうが、とはいえ新製品発表日に証明番号が払い出されるというのは通常は考えられない。前述のように、検証などの目的で発表以前に国内で電源を入れることもあるだろうが、技適がなければ違法行為(電波法違反)になってしまう。

 さすがアップルはこのあたりに抜かりが無いのだろう。こうした公示内容から製品情報が流出することを嫌って、代理会社を通して別の型番であらかじめ技適申請し、国内での端末検証においてはその代理会社が取得した技適を未発売のiPhoneに使用して行っているに違いない。

 このことに気づいたある熱心なブロガーが、アップル製品の証明番号公示とぴったり一致する製品構成で、新製品発売の数カ月前にあらかじめ技適申請している代理会社の存在に気づき、公示内容を比較検証した情報がWebで流れていた。

 それによると、アップル製品が技適証明機関として使っている株式会社ディーエスピーリサーチの公示内容をさかのぼって見ていくと、時々登場してくるUpside合同会社がどうもアップルの代理会社のようで、たとえば同社が2013年5月15日に証明番号を受けているA28とA31という2モデルの内容が、アップルのiPhone 5s/5cの内容と合致している。なお、A31については2012年11月12日と2013年1月28日にも証明を受けている。改良を重ねていく段階での申請なのかもしれない。

 ということは、今回発表される次期iPhoneについても、同様にUpside合同会社から春先には技適申請され、証明を受けているはずである。

 2014年4月の株式会社ディーエスピーリサーチの公示資料で、2014年4月11日にUpside合同会社から申請され、証明されている「A41」という製品と、同じく4月14日に証明されている「A36」という製品が、どうも次期iPhoneの2ラインアップではないかと見られている。これを見る限り、LTEバンド28(700MHz帯)と、LTEバンド41(2.5GHz帯)にも対応していることが分かる。

 ということで、次期iPhoneは700MHz帯および2.5GHz帯に対応していると見て間違いなさそうだ。

 周波数の対応のほかにも、次期iPhoneに対して期待される声として多いのものが、NTTドコモが運用を始めたVoLTEや、KDDIが運用を始めたキャリアアグリゲーションへの対応だ。いずれも世界中のLTE対応通信事業者がこれらのサービスを順次展開していくことになるのだが、次期iPhoneがこれらに対応するかは何とも予想しがたい。アップルにとって、日本は非常に有望なマーケットである。スマホの国別メーカーシェアにおいても、日本はiPhoneが唯一シェアのトップを占めている国である。IDCは9月2日、日本国内携帯電話、およびスマートフォン端末の2014年第2四半期(4~6月)の出荷台数を発表しているが、依然としてアップルが首位だ。

 こうした状況からも、アップルは日本市場を意識した製品作りは心がけるであろうが、とはいえこれまでのiPhoneはローカルで使われ始めたばかりの新技術や新機能を無理に搭載したりすることはしてこなかった。VoLTEにしても、キャリアアグリゲーションにしても、いずれ世界の通信事業者において順次採用されているものであるが、ある程度市場で利用されるようになってから投入するというのがアップル流と見た。あくまで筆者の個人的予測だが、VoLTEやキャリアアグリゲーションは、今回のモデルでは見送りではないかと考えている。

 いずれにしても、あと数日後には、次期iPhoneの全貌が明らかになる。iPhone以外にも、新たなウェアラブル端末やヘルスケア関連サービスの登場も噂されている。どこまでユーザーをワクワクさせてくれるものが登場してくるのか、楽しみで仕方ない。
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《RBB TODAY》

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