【木暮祐一のモバイルウォッチ】第60回 iPhone 6/6 Plusファーストインプレッション……貫かれたアイデンティティ
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毎年、このiPhoneの発売時は、アップルストアをはじめ、各キャリアの旗艦店にはいち早くiPhoneを入手しようと、iPhoneの熱烈なファンを中心に泊まり込みを含む長蛇の列ができる。しかし今年の場合はSIMフリー版をアップルストアで入手できるということもあり、また世界ではまだ未発売の国も多い上に、円安の影響もあってか、外国人(とくに中国圏の人たち)もこの行列に加わり、例年とは違う様相を見せた。それほど、世界中から注目されている新型端末というわけだ。
ともあれ、第8世代となるiPhone 6/6 Plusをさっそく手したので、そのファーストインプレッションをお届けしたい。
■その質感や仕上がりは実物を手にしなければ分からない
筆者はあいにく米国での発表イベントに参加できず、これまでウェブにおける情報でしかiPhone 6/6 Plusに関する情報を得られることができなかった。対応周波数帯域などの話題にはすでにこのコラムで触れているが、実際の端末のサイズ感や仕上げにかかわる質感などはどうしても画像や動画では実感が湧かず、発売を心待ちにしていた一人だ。
端末デザインを見ていくと、特筆すべきはディスプレイ面の周囲がフレームの金属部分とまるで接合しているように美しい角R(角の丸み)を描いて馴染んでいる点だ。かつて、音声通話しか機能が無かった時代の携帯電話は、メーカー同士で差別化を図るとしたら、その筐体デザインとユーザーインターフェイス(昨今はユーザーエクスペリエンスと言われることのほうが多いが)で選択するしかなかった。いかに手に馴染む形状で端末をデザインするか、さらに端末の個性をアピールするべくいかに美しいボディラインを描くかといったことを競っていたものだった。こうした競争が、スマホにおいても機能で差別化が図りにくい時代となった今、スマートフォンメーカー同士で同じこと(デザインによる差別化)が繰り広げられるようになっている。そういう点で、やはりアップルの端末デザイン志向はユーザーによって好き嫌いがあるにせよ、他の端末メーカーから一歩抜きん出て、シンプルながらも美しさをしっかり追いかけているように感じる。美しいボディライン、とくにディスプレイからフレームにかけての曲線はいくら眺めていても飽きない。
iPhone 6で最も気になっていたことは、これまで一貫して4インチクラスのディスプレイサイズにとどめ端末幅も59mm程度に収めることで、iPhoneならではの使いやすさを一貫して訴えてきたアップルが、果たしてこの大型化した6や、さらに6 Plusでどのようなマジックを使って、これまでのiPhoneユーザーにサイズ感を納得させるのかを知りたかったことだ。
まずiPhone 6に関しては、ひと回り大きくなった筐体でありながら、若干本体の厚みが薄くなったことと、端末周囲の角を取ったことで、握った感じでは本体が大きくなっていることをあまり感じさせないデザインとして上手に仕上げられている。昨今のAndroidスマートフォンでは主流となったサイズでもあるが、実際にはそれらよりも小さく感じられほどで、iPhoneならではの手に馴染む感覚は6でもしっかり継承されている。また、これまで一貫して端末上部にあった電源ボタンが、このiPhone 6/6 Plusからは端末右側面上部に移設された。これも、端末サイズが大きくなったことに伴って、より操作しやすい位置に移設したということだろう。
ディスプレイを大きくしたことで、片手で操作しにくくなる懸念を抱いていたが、そこはハードウェアとOSを一緒に設計し提供しているアップルだけあり、ソフトウェアのギミックで操作性をしっかりカバーしている。ホームボタンをダブルタッチすることで、ディスプレイ表示が半分下に下がり、それによって最上段のアプリアイコンに親指でタップすることが可能になる。この機能はすべてのアプリで有効で、たとえばSafariでURLを入力する際に、同様にホームボタンをダブルタッチすれば、URL入力窓、あるいは検索窓に親指が届くようになる。ダブルプッシュすると起動中のアプリが一覧表示になるが、画面を下げたい時はプッシュするのではなくタッチするという、新しいギミックが盛り込まれた。
《木暮祐一》
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