【CEATEC 2014 Vol.16】40種類以上のがんを検知できるセンサー……太陽誘電 | RBB TODAY

【CEATEC 2014 Vol.16】40種類以上のがんを検知できるセンサー……太陽誘電

エンタープライズ その他
さまざまなデバイスが展示されていた太陽誘電のブース
さまざまなデバイスが展示されていた太陽誘電のブース 全 6 枚
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 CEATECの太陽誘電のブースでは、薄めた体液(血清)を落とすだけで、40種類以上のがんを検知できる大変ユニークな半導体センサーチップ「A MOTOR Protein Cancer Detector」を展示していた。これは、がんにかかった患者が転移・再発を防止するために威力を発揮するものだ。

 あらかじめ半導体チップ上には、筋肉細胞の構成要素である「モーター蛋白」という物質に複数の(がんを発見するための)抗体をつけて印刷しておく。そこに血清を落とすと、抗原抗体反応によって、その腫瘍マーカー量が濃縮される。すると、そのマーカー部のインピーダンスが変化するため、これを測定ユニットで測り、前回の数値と比較することで、がん再発の可能性を高精度に検知することができるという原理だ。

 このセンサーのメリットは、何といっても40種類以上の腫瘍マーカーを1度に検査できること。ちょっと専門的になるが、たとえば代表的な腫瘍マーカーの「CEA」「SCC」「APP」などの各マーカーに対応した抗体をチップ状に印刷しておけば、開業医や診療所などでも簡単かつ低価格に複数の検査が同時に行えるようなる。

 がんの検査では、従来のような腫瘍マーカー法(ELISA)もあるが、多種類の検査には向いていなかった。またDNAやRNAを利用した検査法では、検査のオペレーションが難しく、多くの前準備も必要だ。もちろんPETやCTなどによる検査もあるが、こちらはたびたび検査すると被ばくのリスクが高まってしまう。そこで、このように安全で簡単な方法によって、短いサイクルでインデックスを取っておき、もし何か反応があれば、PETやCTなどで検査していく、という方法が考えられる。

 この研究プロジェクトは、群馬県産業支援機構、太陽誘電、長岡技術科学大学、アドテック、サカエ、群馬県立がんセンター、高崎健康福祉大学、はこだて未来大学、函館高専と共同で進められている。臨床検査についてはまだこれからだというが、このよう簡便なセンサーができれば、がんの再発発見に大いに役立つだろう。

《井上猛雄》

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