【木暮祐一のモバイルウォッチ】第64回 NTTドコモが光回線セット割発表!「auスマートバリュー」が直撃を食らう? 2ページ目 | RBB TODAY

【木暮祐一のモバイルウォッチ】第64回 NTTドコモが光回線セット割発表!「auスマートバリュー」が直撃を食らう?

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木暮祐一氏。青森公立大学 准教授/博士(工学)、モバイル研究家として活躍し、モバイル学会の副会長も務める。1000台を超える携帯コレクションを保有。
木暮祐一氏。青森公立大学 准教授/博士(工学)、モバイル研究家として活躍し、モバイル学会の副会長も務める。1000台を超える携帯コレクションを保有。 全 2 枚
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 NTTは約10年前の2004年11月に、2010年までに光ブロードバンド回線の加入者数3,000万件という目標を掲げ、それに向け光ファイバー網を整備してきたが目論み通りにはいかず、2013年3月末時点で整備率が97.5%まで進んだもののその利用率は50.7%に留まり、加入者数も2014年春時点で1,800万件程度に留まっていた。こうした背景もあり、光ブロードバンド回線の普及率を高めるためにNTT東西の光ブロードバンド回線の「サービス卸」の話が進んだようだ。前述の通り、これまでのNTT東西にによる「1芯貸し」では借り受ける通信事業者にとって不利な条件となっていたが、「サービス卸」となれば借り受ける通信事業者は1契約ごとに回線の販売(契約)が可能となる。今回、NTTドコモがこのNTT東西の「サービス卸」を使って独自ブランドによる光ブロードバンド回線を提供するが、これはNTTドコモに限らずソフトバンクにとってもビジネスのチャンスが訪れる。

 しかしながらNTT東西は「情報通信審議会 2020-ICT基盤政策特別部会」の答申に先だち10月16日にサービス卸の提供条件を公表しているが、その中で「提供料金は機密保持契約を結んだパートナー企業にだけ開示する」として公表を拒んでいる。このため、KDDIやソフトバンクなどは「不透明である」として猛反発している。この「情報通信審議会 2020-ICT基盤政策特別部会」の答申案に対するパブリックコメントは11月19日まで募集されており、そうしたコメントを参考にしながら、サービス卸の透明性の確保は総務省の裁量で決定することになり、早ければ11月中にも明らかにされる。

 今回、NTTドコモが発表した「ドコモ光」「ドコモ光パック」の提供に関しては、こうした動きをもとに利用料金等は今後決定するとして、いち早く公表したののと考えられる。また、NTTドコモの発表に対して、ソフトバンクも31日夕方に対抗サービスとしてソフトバンクモバイル、ソフトバンクBBの連名で、NTT東西の光ブロードバンド回線の卸売りを受けた光ブロードバンドとの「セット割」の提供をリリースしている。

 また業界関係者によれば、今回NTTドコモが「情報通信審議会 2020-ICT基盤政策特別部会」の答申案がでた段階で、いち早くこうした光ブロードバンド回線の提供やセット割を打ち出した背景には、既存顧客にとって不利益ともいえるMNP契約者向けキャッシュバック販売施策をけん制する意味もあったとされる。近年目に余るようになった、行き過ぎたMNPキャッシュバックに関して、2014年3月をもってキャッシュバックを収束させるという各通信事業者同士の内々の申し合わせがあったとされている。このため4月以降はMNPキャッシュバックによる無謀なスマートフォン販売が一段落していた。しかし今夏以降再びKDDIとソフトバンクはキャッシュバックを増額し続けており、これがNTTドコモの怒りを買ったとも言われている。

 NTT東西がNTTドコモやソフトバンクに対してどのような条件で「サービス卸」を行うか次第ではあるが、唯一、NTTグループ以外で光ブロードバンド回線と携帯電話をセットで提供することで有利に立っていたKDDIにとっては穏やかなニュースではなさそうだ。
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《木暮祐一》

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