現代のおせち料理は、1年の節目であるお正月の気分を味わう、といった儀式的な意味合いや機能が重視されるようになってきている。コンビニのある現在、正月だからといっておせちやお雑煮しか食べるものがないと困ることはない(そもそもおせち料理は、市場も立たず調理もしないお正月の保存食という説もある)。お正月におせち料理を食べるのは、クリスマスにケーキを食べたり土用にうなぎを食べる行為に近くなってきているのだろう。
そのため、近年はコンビニやデパートなどで出来合いのおせち料理で済ませる人も少なくない。またネット通販の利用も着実に増えている。そのメニューも高級食材を使ったものや高級料亭やホテルとコラボしたものなど実に多彩だ。
しかし、買えば済むものだとしても、故郷の味、おふくろの味などこだわりのおせち料理だってある。手作り料理の「ありがたみ」は捨てがたい。では、皆はどうしているのだろうか。
●購入と手作りを組み合わせるのが主流
楽天市場が2014年10月に行った調査によると、2015年の正月になんらかの形でおせち料理を用意すると答えたのは全体の65%以上だった。そのうち最も多かったのは一部を購入で済ませ、一部を手作りするという回答だ。その理由を尋ねると、「買った方がおいしいものと作った方がおいしいものがある」「すべて手作りは手間がかかりすぎる」からだという。
つまり、多くの人がおせち料理のおいしさや満足度と手間や効率を、手作りと購入でうまくバランスさせているということだ。すべてを購入、または手作りで済ませる人はむしろ少数派といっていいだろう。
●簡単、満足のおせち料理の声が生んだ「ハーフメイドおせち」
そして、この声に応えるべく、楽天市場と老舗おせち料理の「博多久松」が共同開発した「ハーフメイドおせち」が11日10時に予約受け付けを開始した。どういう商品かというと、博多久松が従来から展開している高級おせち料理の重箱のひとつが空になっていると思えばよい。空の重箱には、単品で好きな料理を組み合わせて注文してもよいし、もちろん、手作りの我が家のおせちを詰めてもよい。
これなら、購入と手作りのいいとこどりが狙える。我が家ならではのオリジナルおせちを簡単に作ることができるわけだ。また、全部購入で済ませてもよいが、料理の構成で気に入ったセットがない、という人もセミオーダーメイドのおせちが可能となるだろう。
「ハーフメイドおせち」について、詳しい特徴などを博多久松および楽天市場に聞いてみた。まず、ハーフメイドおせちを開発した背景だが、博多久松によると、前述アンケートにもあるように、多くの消費者が、「プロがつくる豪華なおせちも正月に食べてみたいが、自分流にもアレンジしたいと考えている」というニーズがきっかけだそうだ。開発にあたって、一人でも多くのひとにおせち料理を楽しんでほしいという老舗としての想いも込められているという。