アサヒグループとりんごポリフェノールの関係……狙いと歴史をきく
エンタープライズ
その他
注目記事
-
瑞原明奈選手や伊達朱里紗選手がアクリルスタンドプレゼント(PR))
-
お店まで迷わない! ARによる道案内機能搭載の検索アプリ「ミセココ」公開
-
“第3の中国茶”プーアル茶は大人のイメージ……アサヒ飲料がRTD投入

この時期、青果店やスーパーに多くが並ぶりんご。このりんごに含まれるポリフェノールに着目し、研究を続けているのが、ニッカやアサヒビールを包括するアサヒグループだ。
アサヒグループとりんごとの関わりは、ニッカの前身である大日本果汁の時代から始まった。1934年の創業時に果汁100%のりんごジュースを日本で初めて発売したのが大日本果汁だ。時は下って1990年ごろ、ニッカの青森県弘前工場でりんご未熟果の果汁を加熱殺菌したところ、通常は白ワイン色になるはずが真っ赤になってしまった。この原因がポリフェノールだとわかったのが研究のきっかけだ。ポリフェノール類を効率よくきれいに抽出・精製することに成功したニッカは、その後アサヒグループの一員となり、同グループは引き続きポリフェノール成分のさまざまな機能性を研究してきた。
アサヒグループホールディングス研究開発部門マネジャーで医学博士の田頭素行氏は、「みなさん経験あると思いますが、りんごを切ったまま放置すると、切断面が茶色に変色しますよね。これは、りんごに含まれるポリフェノールが酵素の働きで酸化して起こる現象です。りんご自身が持つ防御機能で、断面は茶色くなりますが、中身はみずみずしく保たれます。りんごポリフェノールが抗酸化作用をおよぼしていることを示しています」と説明する。
ポリフェノールは植物内で生合成される“防御物質”だ。紫外線によって引き起こされるダメージ、活性酸素の働きを弱める作用をする。りんごに多く含まれるポリフェノールは「プロシアニジン」という。緑茶などにふくまれる「カテキン」もポリフェノールだ。ポリフェノールというと赤ワインを連想する人もいるだろうが、ぶどうポリフェノールは「レスベラトロール」という。プロシアニジンは複数のカテキンが結合した構造をしており、抗酸化力が強い。プロシアニジンはカテキンの約6倍、レスベラトロールの約3倍の抗酸化力を持つ。
ポリフェノールを精製して、何かに利用できないかと研究を始めたアサヒグループは、「りんごポリフェノールを抽出精製する技術」で特許を取得。カラム精製と呼ばれる技術などを駆使し、りんご果汁から効率よく取り出した純度の高いりんごポリフェノールを提供している。「1990年頃は、プロシアニジンは研究されていなかった」と田頭氏。したがってりんごポリフェノール精製実用化までは苦労の連続だったそうだ。「ポリフェノールがとれたりとれなかったり。装置に素材を入れてもうまく出てこないんです」。
りんごポリフェノールの機能性研究の結果としては、ヒト試験で、メラニン生成抑制、体脂肪低減、肉体疲労軽減、抗アレルギー、歯垢付着抑制、口臭抑制など、マウスなどの動物実験で、腫瘍成長抑制、寿命延長などの作用が確認されたという。
また、今年6月に開催された日本抗加齢医学会総会では、りんごポリフェノールを含む抗酸化物質配合処方が、酸化ストレスの高いヒトにおいて酸化ストレスの低減効果を発揮し、疲れや持久力、寝つきなどを改善することを示唆する研究結果が発表された。
強い抗酸化作用を持つというりんごポリフェノール。そのパイオニアといえるアサヒグループは、さらなる可能性を見出すべく研究を続けていくという。「酸素を捕まえるこの成分は、人間の健康・美容への効果という意味では非常に多くのポテンシャルを持っている。苦労を重ねて研究し続けてきたいま、この成分がいろいろなものに使えるようになってきた」と田頭氏は期待を込める。「きれいな肌になりたい」「疲れやすい身体をなんとかしたい」。今後、アサヒグループが抽出・精製したりんごポリフェノールが、こうしたニーズにこたえてくれるはずだ。
《大野雅人》
特集
この記事の写真
/