転換期を迎えたテレマティクス…GEOTAB副社長 | RBB TODAY

転換期を迎えたテレマティクス…GEOTAB副社長

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GEOTAB セールス部門副社長 コリン・サザーランド(Colin Sutherland)
GEOTAB セールス部門副社長 コリン・サザーランド(Colin Sutherland) 全 6 枚
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車両のOBD IIコネクタに装着するSIM付のドングルを利用して、Webによる運行管理サービスを世界で提供しているのがカナダ・オークビルを本拠とするGEOTAB(ジオタブ)だ。日本では2013年より東海クラリオンが代理店となって、ローカライズや国内での顧客開拓を進めている。そのGEOTABでセールス部門副社長の要職にあるコリン・サザーランド(Colin Sutherland)氏が、先頃開催されたテレマティクス・ジャパン(Telematics Japan 2014)への参加のため来日。今回、そのコリン副社長にインタビューし、テレマティクスビジネスの見通しについて話を聞いた。

◆エンタメから安全へ…転換期を迎えたテレマティクス

----:今回のテレマティクス・ジャパンに参加した感想はいかがでしたか。印象的なサービスやプレゼンテーションはありましたか。

私の認識では、これまで自動車メーカーは、自動運転におけるテレマティクスの重要性をあまりよく理解していなかったというのが実情だったとおもいます。従来はテレマティクスをインフォテインメントまたはエンターテインメントの視点で捉えていた傾向が強かったのですが、ここ1、2年でテレマティクスは安全面への傾斜を著しく強めました。今回のテレマティクス・アップデートでは、自動車メーカーがイノベーションの力点を安全に置きつつあるということを実感しました。これは大きな転換点といえます。当社としても、テレマティクスを通じた運行管理に加えて安全面における機能向上の可能性を探っているところです。

----:日本のパートナーに東海クラリオンを指名した理由と、その役割分担をお聞かせください。

当社はエンジニアリングカンパニーであり、テクノロジープラットフォームを提供することに注力しています。そこで、ローカライズに当たっては現地のパートナーとの協力関係の構築が不可欠です。東海クラリオンの安部(源太郎)社長とは1年半あまり前にドイツで知り合いましたが、われわれのテクノロジーと強みを熟知されており、ローカライズや営業活動も積極的にコミットしていただいており、理想的なパートナーと考えています。


◆向こう5年でテレマティクス車両は3000万台に、ビジネスチャンスは急拡大

----:GEOTAB社として、テレマティクスビジネスの現状と見通しはどのように見られているでしょうか。

世界中を走るクルマのうち、現在はおよそ600万台がテレマティクス車両といわれています。このテレマ車両は5年後に3000万台にまで増えると予測されています。アーリーマジョリティに普及するステータスに来ており、台数のグラフが弧を描いて伸びる時期といえます。当社としては、多数の車両を運用するフリート会社にテクノロジーを提供し、燃費や安全向上というバリューを提供するなど、他社にはない特徴を訴求してビジネスを発展させていきたい考えています。

たとえばヘルスケア分野では、ウェアラブルコンピューティングの市場が急速に伸びています。これと同じように、保険会社やカーアフターサービス業者、カーディーラーなどがサービスとして車両の診断情報を収集し、カスタマーに提供することが要求されてくるでしょう。その際、高い汎用性を持ちながら解析能力を持ったソリューションを提供できるGEOTABのような技術が要求されると考えています。また、フリートマネジメント会社がマシンデータを集めてそれをビジネスにするというモデルにも可能性を見いだしています。

----:これまでフリート分野でのビジネスを中心に進めてこられたGEOTAB社ですが、コンシューマー分野への進出可能性は。

われわれはビジネスカスタマーだけでなく、コンシューマー分野でもテレマティクスビジネスが開花する可能性は十分にあると考えています。たとえば、この夏に発売したSIM付OBD IIドングル「GO7」では、一部の車種でドアの解錠/施錠が可能になりました。こうしたリモートロックのように、利便性を高める機能への需要は向こう数年で大いに高まるでしょう。

また、スマートフォンのアプリなどと連携して、ソーシャルネットワーク上にクルマ情報をシェアしてコンシューマの興味関心を引くという需要も盛り上げ利を見せています。とくに日本を含むアジア圏では、ゲーミフィケーションの要素を取り入れて燃費競争をおこなったり、ソーシャルゲームのようにデータを楽しく見せる例がしばしば見られます。


◆開発環境を提供しでGEOTABをビジネスプラットフォームに

----:GEOTAB社のようなアフター向けテレマティクスソリューションと、自動車メーカーが展開するテレマティクスソリューションの違いと住み分けについて、見解を伺えますか。

GEOTABはメーカーに関係なくモニタリングできるということが最大の強みです。私は3台自家用車を所有していますが、それぞれ異なるメーカーで、テレマティクスは各社独立してサービスしています。しかし、GOTABならば「GO7」をOBD IIに挿しさえすれば、ひとつの管理画面で動態把握が可能になります。当社のアナリティクスチームが車種・仕様ごとの解析をおこなっていますので、OBD IIから上がってきたデータをノーマライズして同じレベルで見ることができるのです。

----:では最後に、GEOTABとして今後の取り組みについてお聞かせください。

GEOTABから上がってきたデータをひとつのコードで取得できるSDKを8ヶ月ほど前に提供し開始しました。これにより、サードパーティの開発会社がGEOTABを使ってさまざまなソリューションやサービスの構築をおこなうことができます。さらに2015年には、アプリケーションストアにダウンロードストアをつくり、AndroidやiOSにサービスできるような環境を整えます。

《聞き手:石原正義》

【インタビュー】テレマ3000万台時代に向け、ビジネスプラットフォーム構築…GEOTAB副社長

《まとめ・構成 北島友和@レスポンス》

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