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モバイル×テレビによるブランド戦略とは……動画配信サービス「dTV」がスタート

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エイベックス通信放送株式会社 取締役 村本理恵子氏
エイベックス通信放送株式会社 取締役 村本理恵子氏 全 6 枚
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■VODの視聴スタイルを革新する「ザッピングUI」

 そのハイライトの一つは、dビデオのユーザーインターフェースを刷新した「ザッピングUI」だ。スマホやタブレットから、dTVのアプリを立ち上げるとすぐに予告編の動画が再生される。画面を上下左右にフリックすると、まるでテレビのチャンネルを切り替える(ザッピングする)感覚で見たい作品をサクサクと探すことができる。表示される予告動画は時間帯ごとにアップデートされるため、テレビのように新しい作品と出会える確立が高まるところも特徴だ。一般にリビングでテレビを見る時には画面を点けっぱなしにして、内容を横目で見ながら気になった番組は腰を落ち着けて見るといった使い方をされている方も多いはず。dTVではこのような現実のテレビ鑑賞に即した視聴スタイルを、VODの視聴スタイルにも反映させることで“TVライク”な楽しみ方を提供することに重きを置いている。

 「これまで動画配信のユーザーインターフェースは、見たいコンテンツをユーザーに選ばせる設計になっていました。特定の作品は決めていないけど何となく動画を流しながら見たい時には、番組を検索して選ぶ行為が煩わしく感じられてしまうものです。その面倒を省くためのユーザーインターフェースが『ザッピングUI』であり、目に止まったコンテンツに興味が湧いたら、はじめに巻き戻して見られたり、結末が知りたかったら早送りもできるところにVODならではのメリットがあるのではないでしょうか」(村本氏)

 従来のVODサービスではリコメンドリストが静止画のサムネイルと文字情報の組み合わせで並んでいることが一般的だったが、dTVのザッピングUIでは、これに代わって予告編の映像がリコメンドリストのようにずらりと並んでいるイメージだ。「映像コンテンツをおすすめするなら、サムネイルも映像でつくるのが最も効果的で、ユーザーの食指を動かすことができるから」だと、村本氏はその設計意図を説く。

 「dビデオを使って来られた方々にとっても、ザッピングUIは便利に感じられると思います。これまでは、いま見ているコンテンツの続きを視聴するために、一つ前のタイトルリスト画面に戻って、まるでパソコンでフォルダ階層を辿るような感覚で作品を探す手間が要りました。ザッピングUIは特に、連続ドラマやアニメなどシリーズものの作品を視聴する際には格段に視聴がスムーズになります。こうしたインターフェースの操作性やレイアウトについては、スマホユーザーへの入念な調査を重ねてきました。皆様からいただいた声の中には、PCのようなフォルダ階層が無く、等価に並んでいるアプリのアイコンを選ぶだけで目的の用途に辿り着けるiPhone=iOSの使い勝手を高く評価する向きが多くあり、dTVもこれを一つのベンチマークとして習いました。人の検索導線はフォルダのような階層構造になっていません。従来のコンテンツリストのツリー構造は、よほどPCを使い慣れている方でなければ使いにくいものだし、特に頭が疲れている時などには検索が面倒で、動画を見たくなくなってしまうものです。ザッピングUIでは、人間にとって自然な検索スタイルを意識しながら既存のインターフェース設計にメスを入れてきました」

 dTVの誕生に伴い、テレビでもサービスが快適に利用できる据え置きタイプのストリーミング端末「dTVターミナル」が22日に発売された。本機が開発された背景には、テレビをメインにdTVを使ってもらいたいという思いがあったからだと村本氏は語る。「リビングの主役であるテレビは私たちにとっても大きなマーケットです。そこに向けてdTVの魅力を浸透させることを考えた場合、テレビにつなげばすぐに楽しめる専用ターミナルが必要であると考えました」

 なお「dTVターミナル」はWi-Fiと有線LAN接続の両方でホームネットワークにつなぐことができる。本機もやはり「docomo ID」の登録さえあればキャリアとの通信契約が必要ないので、オープンに利用ができる。端末の価格は7,538円(税込)となり、ドコモの全取扱店とオンラインショップで販売される。

 今回の取材時に「dTVターミナル」の実機でザッピングUIの操作感を体験する機会を得たが、確かにスマホのアプリやWebページを切り替えるような感覚でスムーズにコンテンツ一覧が把握できて、面白そうな作品に出会ったら、そのまま再生するだけの簡単操作だ。モバイル端末での動画視聴になれてしまうと、こちらの操作感の方が当たり前に感じられる、今どきの感覚にフィットした使い勝手であると言える。
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《山本 敦》

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