【木暮祐一のモバイルウォッチ】第76回 来日旅行者向け「技適」問題が解決……電波法一部改正が国会で成立
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今回、国会で審議された「電気通信事業法等の一部を改正する法律案」の中で、この海外端末の持ち込みをめぐる「技適」問題に関する部分の改正内容を見てみたい。
この改正案には、電気通信事業法のほか、関連する電波法や放送法の見直しも行われている。「技適」をめぐる電波法改正部分に着目すると、無線局の開設に関わる基本事項が定められている電波法第四条に、新たに次の2項が追加された(以下、引用)。
電波法 第4条 (2項及び3項を追加)
2 本邦に入国する者が、自ら持ち込む無線設備(次章に定める技術基準に相当する技術基準として総務大臣が指定する技術基準に適合しているものに限る。)を使用して無線局(前項第三号の総務省令で定める無線局のうち、用途及び周波数を勘案して総務省令で定めるものに限る。)を開設しようとするときは、当該無線設備は、適合表示無線設備でない場合であつても、同号の規定の適用については、当該者の入国の日から同日以後九十日を超えない範囲内で総務省令で定める期間を経過する日までの間に限り、適合表示無線設備とみなす。この場合において、当該無線設備については、同章の規定は、適用しない。
3 前項の規定による技術基準の指定は、告示をもつて行わなければならない。
すなわち、日本に来日する渡航者(本邦に入国する者)に限って、その渡航者が国内に持ち込んだ端末は、総務省令で定められた期間(90日を超えない範囲内で総務省令で定める)を経過する日までの間に限って、「技適」がある端末と同等にみなす、ということである。これによって、総務省が推進している「2020年に向け増加していくであろう来日観光客の日本国内での通信機器の利便性向上を図る」ために必要な法整備が整ったことになる。
この条文から読み取れるように、あくまで日本への一時滞在者が対象となっている。たとえば、日本人が海外で技適の無いスマートフォンを購入し、国内に持ち帰るケースや、海外通販等を通じて入手した「技適」の無い端末の国内使用は、依然として電波法違反になってしまう。あくまで来日旅行者向けの緩和措置という内容にとどまっているのである。
さらに、こんな条文も追加され、国内におけるスマートフォン等の端末販売事業者についても言及している(以下、引用)。
(基準不適合設備に関する勧告等)
第百二条の十一 無線設備の製造業者、輸入業者又は販売業者は、無線通信の秩序の維持に資するため、第三章に定める技術基準に適合しない無線設備を製造し、輸入し、又は販売することのないように努めなければならない。
すなわち輸入業者や販売業者に対して、「技適」の無い端末は販売してはいけないという戒めが追加された。現状は努力義務にとどまってはいるが。
世界では、一般的に自国で販売する端末は、自国の法令に適合した端末を販売するのが筋であり、こうした電波に絡む法律の多くは利用する個人よりも販売事業者に対する罰則が定められているケースが多い。
しかしながら、わが国では、これまで販売には規制はなく、利用するユーザーが罰せられるという状況にあった。わが国の場合、携帯電話やスマートフォンの販売は通信事業者が代理店を通じて回線契約と共に販売するのがいわば“常識”であったので、技適の無い端末を販売するという想定が無かったのであろう。
同時に、「技適」が無い端末を使ってはいけないとしたこの法律は、言ってみれば通信事業者が販売する以外の端末を排除したいという意図も感じてしまう。今回「技適」に関して、来日旅行者向けには法規制が緩和されたことになるが、残念ながら日本在住のユーザーにはメリットの薄い内容にとどまってしまった。
通信事業者のビジネスや、国内メーカー、国内向けに端末を供給するメーカーを保護するという観点からは当然の措置と言えるが、たとえばコンテンツやサービスを開発したいという企業やエンジニアが、国内未発売のスマートフォンやウェアラブル端末を「検証」や「研究」を目的に利用したいといったニーズはあるはず。こうした開発者や研究者等のニーズが盛り込まれなかったのが少々残念である。
《木暮祐一》
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