橋梁やトンネルを人に代わって点検する特殊インフラ向けドローン
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インフラ点検用ドローンの「橋梁・トンネル点検用 MS-06LAカスタム」は、小泉進次郎氏が視察時に運転したモデルと同様のもの。危険作業を人の代わりに行う目的で、標準モデルのMS-06LA(13インチ)をベースに開発。本機の特徴は、GPSと非GPSを切り替えられる点と、FPVで作業できることだ。
例えば、トンネルの入口や橋まではGPSが使えるため自律飛行に利用し、そこから先のトンネル内部や、橋の下はGPSを切って、1つのレーザーレンジファインダー(上方または下方)に切り替えて、FPV(本機に乗った視点)で画面を見ながら飛行して作業を実施する。今後はビルや煙突など、GPSが使えない場所での用途にも応用していく構えだ。
また原子力発電所の建屋内部など、まったくGPSが使えない状況もある。そこで開発したのが「原子力施設調査用 MS-06LAカスタム」だ。GPSを使わず作業を行うために、本機には水平/垂直方向に2つのレーザーレンジファインダーを搭載。これにより「SLAM」(Simultaneous Localization and Mapping)で、3Dマップ作成と位置を推定しながら半自律飛行を実施する。位置精度はcmオーダーと正確で、原発内で複雑に入り組んだ構造物に近づくと衝突を回避する。
機体が見えない場所での作業となるため、搭載カメラからの操作だけでなく、外部コントローラでの運転にも対応している。本機は、Wi-Fiモジュール、LEDライトや、原発調査用に線量測定器とダストサンプラーも搭載。実際に、このモデルで福島第一原発の建屋(壊れていない5号機)で実証実験済だ。
さらに本機は、ドッキングステーションのようなユニークなバッテリー自動交換機もセットで開発し、運用できるようにしたそうだ。ドローンの飛行時間はバッテリーの関係で数十分程度が一般的だ。だが原発建屋内の調査では、その都度外まで戻って、バッテリーを交換して再調査していては、なかなか仕事が捗らない。そこで原発建屋内に、このバッテリー自動交換機を設置し、効率的な調査を実現したという。
バッテリー交換の流れは以下の通りだ。まずドローンのバッテリーの電圧が低下すると、バッテリー自動交換機に自動帰還する。すると、自動交換機の両側から2つの端子が現れ、ドローンを押さえつける。実は、これはプラス/マイナスの端子だ。バッテリーを交換する前に、事前に独立して仮給電しているのだ。というのも、バッテリー交換をする前に仮給電をしないと、無電状態になりCPUやメモリーなどがリセットされ、大切なデータが消えてしまうからだ。
次に自動交換機のシャッターが開き、アームがせり上がって、ドローンのバッテリーをしっかりと持ち、内部ターンテーブルにセットされた充電済みバッテリーの1つと交換する。テーブルに装着された空バッテリーはすぐ充電が始まるため、8連スロットのバッテリーは常にフル充電され、ドローンが戻っても永続的にバッテリーを交換して運用できる仕組みとなっている。
《井上猛雄》
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