「福岡から全国に成功事例を!」……高島市長がWi-Fiインフラについて講演 | RBB TODAY

「福岡から全国に成功事例を!」……高島市長がWi-Fiインフラについて講演

エンタープライズ その他
福岡市長の高島宗一郎氏
福岡市長の高島宗一郎氏 全 9 枚
拡大写真
■都市の価値を高めたWi-Fi投資

「4年前、局長クラスは誰ひとりとしてスマホを持っていなかった」「(Wi-Fi導入をうたったとき)新しい市長がわけわからないことを、という視線があった」
2010年12月福岡市長になり昨年12月に2期目に就任した高島宗一郎氏は、東京で開幕した展示会「Wireless Japan 2015」のセミナーに登場し、振り返った。

 福岡市は全国でもフリーWi-Fiの整備をいち早く手掛けた市のひとつ。「Fukuoka City Wi-Fi」として、市長もWi-Fiの普及を公約していた。

 高島市長がWi-Fi普及を挙げたのには理由がある。福岡はサービス業や小売業などの第三次産業が95.7%を占めること。また、ソウルや上海などが1,000km圏内にあり、古くからアジアの玄関口として発展。海外9ヵ国・地域の19航空路線が週に486便と充実していること。クルーズ船の寄港回数も99回を数え、博多港の国際乗降客数は約86万人と22年連続日本一となるなど、アジア地域からの観光客が多いこと。また、実はコンベンションの開催も東京に次ぐ多さとなっている。

 「今は街の付加価値を上げて経済の活性化を進めていく都市間競争の時代になった」と市長は話すが、その付加価値のひとつがWi-Fiだった。観光庁が実施した外国人旅行者アンケートの結果によると、日本を旅行中に困ったこととして「無料公衆無線LAN環境」を挙げた人が36.7%にも上っている。市長は、今や「使えて当たり前」の基礎インフラになったと強調する。

 Fukuoka City Wi-Fiが正式にスタートしたのは約3年前だ。市地下鉄全駅、福岡空港、博多港、JR博多駅など81ヵ所(370AP)を用意する。対応言語も日本語ほか、韓国語、中国語(簡体)、中国語(繁体)、英語の5言語。市の情報やエリア情報、防災情報も選択された言語で発信している。

■使い勝手にも配慮し認証を簡略化

 また使い勝手に配慮し、8月1日から同意認証手続きを不要とする機能を実装。6ヵ月間は自動的にインターネット接続するようなっている。この仕組みには裏話がある。市長によると「自治体がこういうものを導入するときにセキュリティのことを言われる。だから最初は15分で接続が切れる方式を採用していた。ところが、LINEをやっているときに途中で切れてとても面倒。ここで何が起きたかというと、福岡の中心部に行くと自動的にWi-Fiをキャッチしてしまうが通信が途切れてしまう。皆、面倒なのでWi-Fiを自動接続しないという設定にし、あえてWi-Fiを使わない環境にして天神に来る、なんていう逆転現象がおきた」という。利便性とセキュリティーが見合わず、利便性が圧倒的に悪かった。試行錯誤を繰り返し、6ヵ月間とした。

 現在1日当たりの平均認証回数は52,622回、外語供御の平均閲覧数は英語408回、韓国語416回、中簡75回、中繁226回と導入当初の約19倍となっている。入込観光客数もうなぎ上りとなり1782万人(平成25年)を達成している。この数値は過去最高だ。

 なお、海外Wi-Fiローミングを実施しているのも特徴で、New Taipei City Wi-Fiの利用者は普段利用するID/パスワードでFukuoka City Wi-Fiを利用可能となっている。

 災害の時の活用にも力を入れているという。緊急時の通知や危機管理のページにアクセスしやくするするとともに、激甚災害時には登録・認証手続きが不要になるようにした。25日には「ソーシャル避難訓練」という防災訓練も行ったり、サイネージとWi-Fiとビーコン、アプリを活用して緊急時の情報発信を行うデモを行っている。

 Wi-Fiで積極的に事例を作っていこうとしている福岡市だが、ICTの利活用に関して先駆けた事例を作り、全国に展開していける場所にしようという戦略がある。そのため自治体としてはじめて、NTTグループ全体と包括連携協定を締結した。

 高島市長は「福岡は東京のようなメガシティと違ってコンパクトに街がまとまっていてテストマーケティングには最適。そして行政として新しいことにチャレンジすることに価値を感じている。モデル地区として福岡で成功事例を作って、それを全国に広げていこうというチャレンジを行っている」と自信を見せた。

《RBB TODAY》

特集

【注目記事】
【注目の記事】[PR]

この記事の写真

/

関連ニュース