昨今、日本映画を牽引する監督たちが世界で存在感を示している。4月の北京国際映画祭では園の『ラブ&ピース』(6/27公開)が日本映画初となるコンペティション部門に選出され、5月のカンヌ国際映画祭では是枝の『海街diary』(6/13公開)や三池の『極道大戦争』(6/20公開)らが出品され、話題を集めた。そのような世界的評価の高い監督達の作品を含め、6月は数多くの邦画作品が公開される。
園の『ラブ&ピース』は、“愛”をテーマにした完全オリジナル作品。うだつのあがらないサラリーマン、鈴木良一(長谷川博己)が一匹のミドリガメとの出会いから、叶えられなかったロックスターへの夢や、諦めていた会社の同僚、寺島裕子(麻生久美子)への恋を取り戻していく。今作は園がまだ無名で映画監督を目指していた25年前に書き上げた脚本をほぼ当時のままに映画化したもので、園自身が「この映画は俺の集大成だ」というほどの作品になっている。さらに、“エログロ”の演出方法が印象的だった園作品において初の“特撮”を用いられて撮影されており、これまでの園作品とは一線を慨すものとして期待されている。
是枝の『海街diary』は、鎌倉に住む3姉妹と腹違いの妹が父の死をきっかけに共同生活を始め、さまざまな出来事を通して家族の絆を深めていく物語。4姉妹を演じた綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、そして広瀬すずらが登場したカンヌ国際映画祭は大きな話題となった。
三池の『極道大戦争』は、ヤクザヴァンパイアにかみつかれた人間が次々にヤクザ化してしまうという奇想天外なストーリー。主演には市原隼人を迎えている。カンヌではスケジュールの都合上、公式上映に参加できなかった三池だったが、強烈な“女芸者”姿でスクリーンに登場し、会場を沸かせた。
意欲作も公開される。若者に絶大な人気を誇るロックバンドRADWIMPSのヴォーカル野田洋次郎が初めて映画の主演を務める『トイレのピエタ』(6/6公開)には注目が集まっている。また、生田斗真がカリスマ的犯罪者役を演じる人気コミックの実写映画『予告犯』(6/6公開)なども控えており、6月の映画界は大きく賑わうことが予想される。