天気情報を“編集”する時代……ウェザーニューズが米ソーシャル気象サービスを傘下に
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ウェザーニューズは5月21日、Weathermob社のアプリ事業買収を発表した。140カ国のユーザーから空の写真が寄せられるWeathermobと連携し、「世界最大の気象プラットフォームを形成し、北米事業展開を加速する」という。同社取締役の石橋知博氏は、「スマートフォンが世界中の人たちの手に届くようになる時代を見すえ、われわれは、天気を軸とした、暮らしの情報のすべてを提供していきたい」と話す。
「たとえば、エアコンの温度設定やエネルギー指標、パンのでき具合まで、天気情報はどこまでも関わってくる。今後は、デバイスの急速な普及にあわせて、天気情報をプラットフォームとしたライフスタイル情報を世界へと展開していきたい」(石橋氏)
こうした想いから、ウェザーニューズはまず北米の気象コミュニティに目をつけた。「トレンドやテクノロジーは北米からやってくる。そして、天気とカルチャーは密接な関係にある。だからWeathermobと手を組んだ」という石橋氏は、こう続ける。
「たとえば日本でいわれる五月雨。これは英語でなかなか表現できない。いっぽうで欧米では、日差しや熱さのレベルもいろいろある。さらにイヌイット語は雪の表現だけでもいろいろある。しかもグランドに落ちた雪を表現する言葉がいっぱいある。つまり天気はカルチャーそのもの。われわれのソーシャルアプリ『Sunnycomb』と『Weathermob』などが連携することで、ユーザー同士がコミュニケーションできるようになると、遠く離れた地の文化やライフスタイルに触れられて、楽しくなる。さらに、地球温暖化といった環境問題や災害など、世界全体がアースコンシャスな方向へと関心を持つようになるだろう」(石橋氏)
そこで、同社の「地表で起きるすべてをリアルタイムに」というビジョンに必要となってくるのが、情報を“編集する力”だ。同社は、WeathermobのCEOであるJulia LeStageを、Chief Editorial Officer(コンテンツ編集責任者)として招き入れた。来日中のJulia氏はこう期待をこめた。
「たとえば、日本から発信された英語の天気情報を見ると、どこか、ロボットが翻訳した英語の表現に読み取れるときがある。そういう間に編集責任者として立ち、各地の天気情報を相手の心に響くような表現で世界の人たちに伝えられるようになる。dreichやwicked rainnyといった英語圏の表現も、今後はアジアの人たちにも伝わればいいと思う」(Julia氏)
「世界最大の気象コミュニティの形成や予測精度の向上を目指す」というウェザーニューズ。同社の視界には、欧米市場の先に中国が見え隠れしている。石橋氏は「日本の天気は、西側にある大陸の天気状況につながっている。だから、自然とアジアに目を向けていくようになる。今後、地表で起きているあらゆる出来事は、ソーシャルでつながりながら、コミュニケーションを図りながら伝わっていくはず」とも話していた。
《大野雅人》
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