【楽しい100人 Vol.9】カープ女子に負けるな!神楽で地域を活性化……「ひろしま神楽女子」
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「神楽の話なら3日3晩くらいできる!」と笑う住川さんは、骨の髄までぞっこんの神楽ファン。祖父が神楽をやっていたこともあり、小さいころから神楽には慣れ親しんで育った。本気ではまったのは10年前のこと。OLとして働く変化のない毎日の中で、自分を元気にしてくれるものはないかと考えていた時、たまたま秋祭りで神楽に出会ったのがきっかけだった。
「たとえばサッカーが好きな男の子だったらサッカーをやっているのを見たら足をとめる。小さいときから神楽が身近で、初恋の人も神楽団のおにいちゃんだった私にとって、それが神楽でした。神楽ってやっぱりええもんじゃぁ、そう思いました。」
観賞する神楽は年間70本以上。見るだけでは飽き足らず7年前からは、広島県の山間部、北広島の郷之崎神楽団に入団。高速道路で1時間以上の距離を、週に2回練習に通っている。
「カープ女子ががんばっているなら、うちらだって神楽女子をやろう!」。神楽と広島への愛が高じて立ち上げた「ひろしま神楽女子」のメンバーは、現在は150名を超える。
「みなさん 神楽をよう知っとってですか?見ちゃったことはありますか?」
本職はボディーアートのアーティストだが、神楽のことを語る住川さんの目はきらきらと、そして真剣だ。
小さいころから神楽と触れ合ってきたものの、神楽を観賞した時の古典芸能ゆえのわかりづらさを感じていた住川さんは、繰り返し通い地域の人たちとつながりをもつことで、衣装や物語といった神楽の中身について学んでいった。もともと神社への奉納として祭りで行われていた神楽が地域から切り離されイベントとして扱われるようになったことで、神楽自身の在り方も昔から変化していると住川さんは言う。地域とはかかわりを持たない神楽だけの「ファン」も出現するようになった。
「もともと神事としての神楽は、その思いに賛同する地域の人たちが毎日の仕事や生活の中で受け継いできました。ですが、過疎化や若者の不足などで神楽団がなくなってしまうのはさみしい。地域と神楽団とファンをつなげるために、現実的に私が何をできるのか考えました」
そこで住川さんは、まず、ファンのための活動に着手する。先日の「広島の楽しい100人」登壇者 平尾順平さんが学長をつとめる「ひろしまジン大学」で神楽の入門講座を開催したり、神楽の歴史の勉強会や、ファン同士の定期的な交流会を積極的に行うようにした。また、お面や衣装など金銭的な負担も抱える神楽団が継続していけるようにと、地産地消を促進する女性目線の商品の開発など、自身が企業家としての勉強を続けながら地域の活性化にも取り組んでいる。
「伝統芸能としての神楽を裏で支えてくれているお面や衣装の工芸師の方も、海外に紹介したりもっと活躍してもらいたいんです」
住川さんの熱意は、神楽を取り巻く裏方たちにも注がれる。神楽を取り巻くすべての活動がうまくつながることで、最終的に神楽女子の中からの雇用も生み、今以上に地域と神楽とファンを盛り上げていきたい、と住川さんの決意は固い。
「今日神楽公演なの?あなたいってらっしゃい、あとで見にいくわ!と送り出せる神楽ファンの女性と神楽団員をくっつければ、山間部の人口増加だって可能です!」
今年の9月には実際に婚活イベントも行う予定だ。
「悩んでいるときに神楽を見て、明日もがんばろう!と思えました。私にとって神楽は、歌舞伎以上。神楽の見方がわからなければ、私がなんぼでも教えます。広島の伝統の神楽を、女性の力と妄想力で、みんなが楽しくなれるようにこれからも活動していきます!」
神楽との出会いが人生を変えた住川さんの神楽への思いは、広島神楽の躍動感ある熱気に負けないほど、熱い。
《築島 渉》
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