【楽しい100人 Vol.11】グローバルに生きる……グローバルビジネス・プロデューサー 馬上清治氏
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「ついさっきまで、3時間友達のブライアンとコーヒーを飲みながら議論していました」
と、まるで友達に語りかけるような親しみやすさでトークを始めた馬上さんは、さっそく観客席にこう問いを投げかけた。
「グローバル人の条件って、何だと思いますか?」
言語ができるできないという問題ではない、と馬上さんは言う。
「さき、友達のブライアンと、と言いました。アメリカ人の、とか何人と言う言い方はしていません。国や人種にこだわらずにいろいろな価値観を共有できる人、それがグローバル人です」
現代はインターネットでいろいろな情報が手に入る。しかし、ネットから情報を得る時でも手を抜かない。一つの視点からだけでなく、常に複数の視点から見極め、考える―それが馬上さんのグローバルだ。
馬上さんがサンフランシスコで過ごした1980年代前後のサンフランシスコは、スティーブ・ジョブズがパソコンを作り、シリコンバレーがめきめきと頭角を現していた時代だった。世界のハイテク企業の10中8社は本社がシリコンバレーにあり、ネットでは出回らない本当の裏情報は、現地にこそあると馬上さんは言う。
たとえば最近マスコミを騒がせているドローン。スクリーンに映されたのは2001年に開発されたドローンの写真である。14年前にすでにサンフランシスコで開発され、現在のAmazonが行っているような、衛星を利用しての配達も視野に入れていたというから驚きだ。
また、当時すでにスカイパーと呼ばれる空飛ぶ車の開発も始まっていた。馬上さんが今も懇意にしているモーラー博士が発明したスカイパーには、ロータリーエンジンと軍事利用されている持ち運びも可能なほど小さな発電機が搭載され、当時の投資家たちをうならせた。シリコンバレーには10年以上も前に、現代ですら目新しいテクノロジーが次々と生まれていた。
その後馬上さんは 「国富論」などの著書で有名な原丈人氏と知り合う。原氏はアメリカで初めてベンチャーキャピタル(未上場企業に対し投資をする会社のこと)を成功させた日本人として名が知られているが、その原氏が目をつけたのが大阪に数ある町工場だった。原氏は、大阪の町工場が独創的なシリコンバレーのベンチャー企業とアライアンスを組み、ハイテク企業へと産業構造をシフトすることが、大阪全体の活性化につながると考えたのである。これを受けて1987年当時の大阪府知事がシリコンバレーに視察に訪れた時から、馬上さんはこのプロジェクトに関わり、アメリカのベンチャー企業100社と日本の企業300社の「お見合い」にも立ちあった。このとき17社が提携し新聞でも大々的に報道されたが、この取り組みは現在でも毎年行われているそうだ。
日本にはまだ情報すら入っていなかった技術が、当時のシリコンバレーでは次々に生まれ、刷新されていた。馬上さんは、ハイテク技術という情報をまだ何も知らなかった、あるいは当時の日米摩擦のために知らされていなかった日本に、国ではなく民間の力で新しい情報が紹介され、導入されていくのを、目の当たりにしたのだった。
「繰り返しますが、やはり情報と言うのは、Face to Faceで手に入れないといけないものなんです」
黎明期のシリコンバレーで全てを見てきたからこそ、馬上さんはそう強く主張する。本当のグローバルとは、電気信号を介してでなく、その場に行き、目で見て、耳で聞くことだ―これからの日本を生き抜くグローバル人になるために、私達はいますぐスマートフォンを置いて、歩き出すべきなのかもしれない。
《築島 渉》
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