【木暮祐一のモバイルウォッチ】第80回 MNOとMVNOの訪日外国人対策、ユーザー獲得競争が本格化!
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
NTTドコモやKDDI、ソフトバンクといった通信事業者(Mobile Network Operator = MNO)は、これまで「国際ローミング」(電波法103条の5)によって、来日客の技適のない端末の合法利用を可能にさせてきた。
しかしながらその通話料、通信料は決して安価なものではなく、ある程度長期間日本に滞在するような外国人観光客にとっては高価となる電話料金が大きな課題であった。
外国人観光客向けに緩和されることになった今回の法改正で、ようやく合法的に来日客が自身の端末を日本のMVNO事業者が提供する安価な通信回線で利用可能となる。外国人観光客にとっては朗報だ。
一方で、MNOにとっては2020年に向けて期待されている外国人観光客による通信料収入増をMVNOに奪われかねない懸念もあった。国際ローミングで利用する場合、日本のMNOへの通話・通信料金収入に加え、来日ユーザーが自国で契約している通信事業者へも通話・通信料収入が入る仕組みである。
これが通話・通信料が高価になってしまう要因でもあるのだが、両国の通信事業者にとってその収益は決して少ないものではない。2020年需要で拡大できるのであれば、大いに便乗したいところであろう。
外国人観光客が、安価に利用できるMVNOのプリペイドSIMを使ったのでは、両国のMNOは通信料収益につなげることができないのだ(厳密に言えば、MVNOはNTTドコモなどのMNOのネットワークを借り受けて事業を行っているので、国内のMNOにとってはどちらにしても通信料収入増にはなるのであるが)。
ということで、2020年のオリンピック開催を機に法規制の緩和が行われ、さらにMNO、MVNOに関わらず通信事業者各社が来日する外国人観光客による増収を目指して、いよいよ本格的に動き出してきた。
今回のNTTドコモの施策は国際ローミングでネットワーク接続した際に通知されるSMSをフックにクーポンを配信しようというもののようだが、同じような情報配信はMVNOのSIMでも可能なことで、今後は通信サービスとのセットでさまざまな“抱き合わせのオマケ”が登場していくことになるのだろう。
《木暮祐一》
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