源泉徴収とマイナンバーの関係…高度な注意義務 | RBB TODAY

源泉徴収とマイナンバーの関係…高度な注意義務

エンタープライズ セキュリティ
イメージ画像
イメージ画像 全 1 枚
/
拡大写真
今回の回答者:高橋昌也 税理士・AFP(フィナンシャルプランナー)

質問:
 先日、個人事業者として開業しました。源泉徴収(げんせんちょうしゅう)というものが必要だと言われたのですが、私は一体何をすれば良いのでしょうか?(前回の質問の続きです)

回答:
 前回のご質問で頂いた源泉徴収について、その続きのお話をします。

 源泉徴収の大まかな内容はこんな感じでした。

・それなりの事業をしている人は源泉徴収義務者になる
・給与や一定の報酬などを支払うときに、源泉徴収義務者は天引きをしなければならない
・天引きした税金は、源泉徴収義務者が後で税務署に納税しなければならない
・源泉徴収義務を果たしていないと、税務署から指導されてしまう

 いま、源泉徴収制度と大きな関係が出てきそうな制度が話題になっています。マイナンバー制度です。マイナンバー制度を簡単に説明すると

・国民一人ひとりに固有の管理番号が振られて
・その番号を基に税金や社会保険の情報管理を行う
・管理を徹底させる結果、徴税等の強化・徹底がされる

 このような仕組みで、マイナンバー制度はこの秋口から番号の配布が始まり、年明けから制度が始まることになっています。

 この制度が非常に怖いのは、事業者に対して多大なる事務作業を強制すると共に、番号の保持管理についてとても高度な注意義務を課していることです。今後、給与や一定の報酬を支払うとき、かなりの割合で支払先からマイナンバーを預からなくてはならなくなります。給与に関して言えば、社員本人だけでなく扶養親族の番号まで集めなければならないという徹底ぶりです。報酬以外では、一部不動産の賃借料などもマイナンバー収集の対象となってきます。

 そして集めた番号の漏洩などが起きたとき、その管理等について違反が認められると、場合によっては懲役や罰金刑が課されることになっています。どこの世界のお話?と実感がわかない方も多いかと思いますが、これは今現在商売をしている多くの事業者その人に関係していることなのです。

 マイナンバー制度が始まったあとですが、一部の事業者については一定の手続きを経て集めたマイナンバーを税務署なりに提出しなければなりません。課税庁はこうやってマイナンバーを収集し、実際に支払いを受けた人が正確な申告と納税を行っているのか管理をしていくのです。

 ここで少し想像をしてみましょう。本来ならば源泉徴収をしなければならないのに、そういう手続を何もしないまま適当に事業を続けている人がいるとします。くどいようですが、マイナンバー制度が始まると各人に対する情報収集の動きはより加速していくことになります。その人はいまのまま、源泉徴収の義務を果たさないままで業務を続けることができるでしょうか?

 私はどんどん難しくなっていくと思います。

 マイナンバー制度は、所得者本人(給与をもらっている人や一定の報酬で生計を立てている事業者)に対する情報収集強化だけでなく、源泉徴収義務や社会保険など、事業者が果たさなければならない各種義務の管理徹底においても強い力を発揮することが予想されます。

 社会保険のお話は以前にもこのコラムで書かせて頂きましたが、税務に関していえば、源泉徴収制度の重要性はこれからどんどん高まっていくことになります。(税金を)預かるのを忘れているだけなんだから、大したことないでしょ?というような認識をお持ちの方はいないでしょうか? そのような甘い気持ちのままでいると大きな痛手を被ることになりかねません。

 源泉徴収の義務はしっかりと果たすように努力しましょう。


<回答者のプロフィール>
高橋昌也:税理士・AFP。神奈川県川崎市に事務所を構える。
中小零細法人や個人事業主に関する仕事に特化。 顧客との定期的な面談等を通じて、税務、経理その他経営上の課題について話し合うことをモットーとしている。 趣味はアカペラ、立廻剣術ほか。地域の非営利活動にも従事。

【解決!社長の悩み相談センター】第15回:源泉徴収とマイナンバーの関係は?

《高橋昌也》

特集

【注目記事】
【注目の記事】[PR]

この記事の写真

/

関連ニュース