千葉県臨海部でホテル開発加速 | RBB TODAY

千葉県臨海部でホテル開発加速

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アパホテル&リゾート東京ベイ幕張イーストウイングの完成イメージ
アパホテル&リゾート東京ベイ幕張イーストウイングの完成イメージ 全 2 枚
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 千葉県の臨海部で大型ホテルの開発が勢いを増している。国内外の観光客を魅了する東京ディズニーリゾート(TDR、浦安市)の集客が好調なほか、幕張メッセ(千葉市美浜区)が2020年東京五輪の競技会場となるなど、県内の観光振興に追い風が吹いているためだ。20年に向けて、増加する観光客の受け皿となる宿泊施設が不足するとの見方もあり、開発が一層加速する可能性も出てきた。

 大型ホテルの新築・増築計画が特に活発化しているのが、TDRがある浦安市だ。TDRを経営するオリエンタルランドは、15年3月期からの10年間で、施設の再開発などに5000億円を投じるなど集客力の向上に力を入れている。これに加え、「東京五輪の開催決定も少なからず影響している」(市の担当者)とみられている。JR京葉線新浦安駅近くの埋め立て地「日の出地区」では、大型ホテルの新築・増築計画が次々と打ち出されている。

 新規開発の中で、最大の施設規模となるのが、地区南側の東京湾岸にある2・2ヘクタールの未利用地(日の出7の2の3)でマウンテンフット特定目的会社

 (東京都港区、山崎亮雄社長)が計画する客室数640室のリゾートホテルだ。建物はS造18階建て延べ3万8365平方メートル、最高高さは約60メートルの規模。設計は竹中工務店が担当。施工者は未定だが、17年7月末の竣工を目指している。

 このほか、地区内の「浦安マリナイースト21」内(日の出5の7の1の一部、敷地面積1万6606平方メートル)に大和ハウス工業が自社の設計・施工でホテル(延べ9819平方メートル)を新設する計画。スターツコーポレーションも新浦安駅近くにある「ホテルエミオン東京ベイ」の北東側隣接地(日の出1の2ほか、7691平方メートル)に新館(延べ1万5813平方メートル)をスターツ総合研究所の設計、スターツCAMの施工で建設するなど計画がめじろ押しだ。

 幕張メッセは、老朽化した設備の更新とコンベンション機能の強化に向け、県が事業費150億円超の大規模改修を検討中だ。このため、幕張新都心地区では、観光客と展示会を訪れる団体客を受け入れる宿泊施設の整備が必要になる。

 アパグループ(元谷外志雄代表)は05年、西武鉄道が経営していた「幕張プリンスホテル」を取得し、現在の「アパホテル&リゾート東京ベイ幕張」の運営を開始した。元谷代表は「プリンスホテル時代は、敷地の全体容積の40%しか使われておらず、増築を見込んで取得した」と振り返る。

 14年4月に増築第1弾の「ウエストウイング」を開業後、このほど第2弾となる「イーストウイング」(S造11階建て延べ1万1962平方メートル)の建設に着手。イチケンが設計・施工を担当し、16年10月の開業を目指している。完成すると総客室数は2001室、収容人数は4000人超となり、国内最高層(ホテル単体)で最大級のホテルとなる。稼働率の推移を見ながら将来的な増築も視野に入れるという。

 千葉市は、幕張新都心地区へのカジノなどを核とする統合型リゾート(IR)の誘致を検討しており、IRには高級ホテルの併設を想定している。市が1月にまとめた報告書では、併設するホテルについて、既存施設を活用する場合は200室、すべて新たに開発する場合は2500室を整備する必要があるとしている。

 みずほ総合研究所のリポートによると、千葉県内の延べ宿泊者数は、20年には14年比(2139万3690人)で214万人増加するという。現在の宿泊施設の容量では増加分の宿泊客の受け入れが困難なため、新たな施設整備に399億円の投資が必要と試算している。

 自治体などの「官」とオリエンタルランドなどの「民」がそれぞれの立場で推進する観光振興策次第で、大規模ホテルの開発がさらに活発化する可能性もある。

首都圏Look at/千葉県臨海部でホテル開発加速、観光振興の追い風受け

《日刊建設工業新聞》

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