【PR】初期設定15分＆アプリで機能拡張！ EMCのハイブリッドクラウド「VSPEX BLUE」とは？ 2ページ目

「VDI環境（仮想デスクトップ）では、よくI/Oが集中し、ストレージがボトルネックになると言われ、起動時にトラフィックが集中する“ブートストーム”が発生することもあります。『VSPEX BLUE』ならば、スモールスタートで始め、VDI環境が増えたらアプライアンスを追加することで、CPUとストレージのパフォーマンスを向上できます。また、2Uの筐体に4台（ノード）のサーバが搭載されているため、VMwareのHA（高可用性）構成が可能。もし物理サーバに障害が起きても、他のノードで処理を引き継げます」（梶氏）

　このようにHCIの「VSPEX BLUE」にはメリットも多いが、ストレージがサーバに内包されるため、当然ながらEMC独自のストレージ機能は使えなくなる。三保氏は「シンプルな構成で、高速にデプロイ（配置）し、なおかつ迅速にインフラを展開したい場合には、HCIのメリットが効いてきます。もしスナップショットやレプリケーション、高速バックアップなどの機能を使いたい場合には、CIのほうを推奨します。このあたりは、どんな利用目的で使うかによって、選択が決まってくるでしょう」と説明する。

　さらに「VSPEX BLUE」の構成を見ると「VMware EVO:RAIL」をベースにしていることが分かる。これはVMwareのソフトウェアスタック（基盤）だ。具体的には、同社の「Virtual SAN」（VSAN）や「vSphere」(Enterprise Plus)、「EVO:RAIL Engine」、「vCenter Server Standard」などで構成される。一方、ハードウェアに関しては、VMwareの指定スペックに合わせ、EMCが外部に発注しており、通常のIAサーバが採用されている。また販売ディストリビューはネットワールドが担当しているという。

　三保氏は「『VSPEX BLUE』ではハードウェアの利益は追及していません。ターゲットは、EVO:RAILに載る上位レイヤーのEMCオリジナルソフトや、EMC追加ソフトによる拡張機能です。これが他社のEVO:RAILベースのHCIとの差別化においてポイントになるところです」と強調する。

■App StoreやGoogle Playのようにアプリで機能を拡張

　では、「VSPEX BLUE」の具体的な差別化のポイントについて見てみよう。EVO:RAILを採用した他のHCI製品と比べて、どのような点で優位性があるのだろうか？

　まずEMCはストレージ専業ベンダーとしてワールドワイドで365日24時間の保守網を有している。これを「VSPEX BLUE」でも使うことができる点は大きい。また「ESRS」と呼ばれるリモートアクセス機能によって、保守員がすぐに駆けつけられない遠隔地でも、迅速に障害を検知し、一元サポートできるスキームを持っている。EVO:RAILベースのソフトウェア系の管理ツールだけでなく、ハードウェア系に特化した管理ツールとして「VSPEX BLUE Manager」も用意されている。

　このあたりは大きな差別化のポイントではないかもしれないが、さらに特筆すべき点がある。それは「VSPEX BLUEマーケット」があることだ。

「『VSPEX BLUEマーケット』では、App StoreやGoogle Playのようにアプリをダウンロードし、機能を拡張できます。現時点でサポートされているファンクションには“RecoverPoint for VMs”“VDPA”“EMC CloudArray”という3つのアドオンがあります。また今後の話ですが、VMwareとコンパチであれば、VSPEX BLUEでも利用できるため、EMC以外のサードベンダーが新機能を作り、エコシステムとしてマーケットが無限に広がっていく可能性も秘めています」（三保氏）

　3つのアドオンのうち、「EMC CloudArray」は、EMCが単体ソフトウェアとしてリリースしている仮想アプライアンスだ。「『VSPEX BLUE』のストレージ容量が少なくなってきたときに、パブリッククラウド側にオフロードできる機能を追加できる。現時点で利用できるクラウドは、Amazon S3、HP Cloud、Google、RackSpace、SoftLayerなどをサポートしています」（三保氏）という。

　2つ目のアドオンは、仮想環境でのバックアップ機能「VDPA」だ。「仮想環境において仮想マシン単位でバックアップを取ることが難しいと言われています。これを簡単に行ってしまう機能で、もともとはVMwareのアドバンスドライセンスとして提供されていたもの。我々のバックアップ・アプライアンスのDataDomainと連携させ、仮想マシン単位で、VDPA経由でバックアップが可能」（三保氏）としている。

　3つ目のアドオンは、災害対策用のレプリケーション機能「RecoverPoint for VMs」だ。バックアップはリストアしなければ使えない。しかし、特定の仮想マシンのイメージを選んで、リモートサイトに持っていき、そのまま複製して立ち上げられる。これも単体で提供している機能だが、『VSPEX BLUE』でライセンスがバンドルされており、マーケットからダウンロードして無償で利用できる。

「RecoverPoint for VMsの仮想アプライアンスを複数分立てて、各ノード間で負荷バランスをとったり、どれかが落ちても他のアプライアンスで継続したレプリケーションが可能で、また重複排除機能も効きます。これらは、VMwareのレプリケーションにはない機能です」（三保氏）

　このように「VSPEX BLUE」は、EMCならではといえる機能が、2Uという小さなラックに満載されている。開発環境などでの使い方もさまざまだろうが、逆にいえば幅広い分野での導入できる次世代の統合型インフラとして、大きなポテンシャルを秘めたソリューションともいえるだろう。