農業経営よりも作物作りにIoTを…「e-kakashi」の戦略
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子機のセンサーから集めたデータを親機を通してクラウドに集め、ekレシピといったノウハウ集を作っていく。産地とその産地の専門家とのデータ共有を行いながら、適切な生産手法を展開していくことも可能になる。農業IoT推進部部長の山口典男氏は、他の農業IoTとの違いについて「作物の生産現場に根差した」ものであり、流通の仕組みを構築しようというシステムとは異なると断言する。ここでは、先日行われた発表会後の質疑応答の主な内容を紹介しよう。
――実証実験において、ekレシピはどういう風に利用されているのか?
現在、ekレシピを提供しているなかで、最もディープに使っていただいているのは京都の与謝野町だ。最初は、ekレシピには枠組みだけが実装されている。例えば、米を例にとると生育ステージごとに、理想的な状態が定義づけられており、そこにデータが入れられるようになっている。ところが産地ごとの気候やその時々の気温は異なっており、調整していかなければいけない項目や対応を蓄積して溜め込んでいかなければいけない。このekレシピは、そこが使えるようになっている。与謝野町ではステージごとにやるべき作業などを写真付きでいれるなどして活用している。世界でも類をみない形で、環境データに基づいた与謝野町オリジナルのekレシピというのが完成している。ここまで短時間でさくっとやられたところは、まだない。先進的な例だろう。
――ekレシピは何種類の作物に対応しているのか?ベースはどう作ったか?
ekレシピで用意されている作物データは4つ。少ないと思われるかもしれないが、まずは、もともと売れている作物にフォーカスした。試験場で試験されれていて遺伝子構造までもわかっているもの、そういう作物をデフォルトのレシピにしやすいというところがあった。それに基づいて地域用のレシピを付け加えノウハウを作っていく。
そのノウハウが価値として流通していく世界観がある。植物の種とekレシピをセットで出荷されれば作りやすい形になるかもしれない。また、このekレシピは研究所と情報共有しながら生産に活用していくことも想定している。例えば県が作ったみかんのekレシピが配られて、各農家ごとに微妙にそれをカスタマイズしていくケースもでてくるだろう。
――ekレシピのイメージを具体的に教えてほしい。センサーで集めたデータをどう活用して、どう提供するのか?
今デフォルトで用意しているのが、米、イチゴ、トマト、柑橘系だ。イメージについてだが、農業で作物を育てる場合に、作物の生育ステージを定義づけている。今植物がどういう状態で、どこに気をつけなければいけないのかといったことは、生産者の経験によるものだった。継続的にデータをとりながら知識と照らし合わせるということは工数的に難しかった。今回は継続的なデータと知識が融合して安定的な作物を作ることができるようになる。ekレシピの最も基本的な部分は、圃場で起こっていることを見える化し、それを育てる生産者の方が把握しながら次の施策を打つことができる、そういう情報の一部を提供できていることだ。ただ、そのデータというのは自分だけで悩むだけではなく、県とか市の専門家が特定の品種に対して持っている知識体系と共有連携し、アドバイスをうけられるようになることも重要だ。今は専門家がFAXっで送ったり、現地に指導員が出向いたりしながらやっているが、こういうIT機器を使えば多くの生産者が情報を教授できるようになる。
《RBB TODAY》
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