多言語を習得するメカニズムを“脳科学的”に初調査……東大・MITなど
エンタープライズ
その他
注目記事
-
瑞原明奈選手や伊達朱里紗選手がアクリルスタンドプレゼント(PR))
-
「重力波」ついに世界初の直接観測に成功……なにがすごい? どう役立つ?
-
手に取った商品の情報をタブレットで多言語表示……インバウンド向けサービス

共同研究では、多言語習得の経験のある幅広い年齢層を1グループで20名ほど集め、モノリンガル、あるいはトリリンガルの脳活動を比較する。具体的な調査は、言語理解と発音把握などについて、「多言語に触れた経験をもつ人の脳が、さらに新しい言語を習得する際にどのような反応を示すのか?」、あるいは「多言語を学ぶと、脳の活動や構造にどんな違いが現れるのか?」といったことについて検証していくという。
今回の研究に参画する言語交流研究所は、すでに35年前よりヒッポファミリークラブ(https://www.lexhippo.gr.jp/)を通じて「7ヵ国語を話そう」(英語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、中国語、韓国語、日本語)という活動を展開してきた。同クラブは現在、全国700ヵ所で約1万6,000人のメンバーが活動している。
「これら7ヵ国語をべースに、現在は合計21種の言語まで対応している。小学生から93歳の高齢者まで、幅広い年齢層が複数の言語を同時に聞いたり、言葉をまねるプロセスのなかで、音を楽しみながら自然に言語を習得している。いわば赤ん坊が言葉を覚えるのと同じプロセスで言語にアプローチしている」と説明するのは、言語交流研究所の鈴木堅史氏だ。
同クラブができた当初は「学習しないで本当に語学が習得できるのか?」「母国がしっかり固まらないうちに、多言語を学ぶと混乱するのではないか?」という疑問も聞かれたようだ。「だが何十年も経ち、子どもだったメンバーが大学生や大人になり、マルチリンガルの効果が明確に表れてきた。多言語を習得すると、逆にイメージやクリエイティブの思考も豊かになるようだ」(鈴木氏)。
ヒッポファミリークラブは、日本のほかに米国、メキシコ、韓国にも支部がある。米国メンバーが、たまたまMITのスザンヌ・フリン教授の講義を聞いたところ、その研究理論が同クラブの活動内容を裏付けるものであり、非常に驚いたそうだ。そして数年前から彼女と交流が始まったという。
フリン教授は「多言語の獲得が人間にとって、いかに役立つか?」という視点から研究を行ってきた。MITの同僚であるノーム・チョムスキー氏が提唱する「生成文法」(★注1)に基づき、「多言語を話すことは人間にとって自然である」「人間の言語獲得能力には限度がない」といったユニークな学説を唱えている人物だ。
(★注1)すべての人間の言語に普遍的特性があるという仮説をもとにした言語学。普遍的特性は、人間が元来生まれ持っている生物学的な特徴であり、言語を人間の生物学的な器官の1つとして捉えている。
同教授は「これまでの研究から、第一言語についての習得メカニズムは大分わかってきたが、第二言語以上の習得に関しては、まだ不明な点が多い。特にマルチリンガル(第三言語以上)の習得に関する研究データはほとんどないのが現状だ。今回の共同研究によって、マルチリンガルのデータを集めて、新しい発見ができることを大いに期待している」と述べた。
《井上猛雄》
特集
この記事の写真
/
関連ニュース
-
「重力波」ついに世界初の直接観測に成功……なにがすごい? どう役立つ?
ブロードバンド -
手に取った商品の情報をタブレットで多言語表示……インバウンド向けサービス
エンタープライズ -
4年ぶり!3月9日の日食は全国で観察チャンス
ブロードバンド -
「つくばロボットフェスタ」が来週から開幕!G7各国のロボットをチェック
エンタープライズ -
オバマ大統領がコンピューター科学教育に40億ドル投入、AppleやMicrosoftも支援
エンタープライズ -
“ジブリがアニメ化”はデマ……突然バカ売れの筒井康隆の小説
エンタメ -
人工知能の科研費Top10は国立大が独占、1位は断トツ東大
エンタープライズ -
画像の不正転用を検出!学術論文用の類似画像検出システムを開発
エンタープライズ -
冬の星座とイルミがコラボ…パシフィコ横浜×宇宙科学館のイベント第2弾
エンタメ -
15年後に40万円増!保護者の関心集める国立大学の授業料!!
エンタープライズ