風力と組み合わせて日射量をカバーするハイブリッド街路灯……防災導入事例 | RBB TODAY

風力と組み合わせて日射量をカバーするハイブリッド街路灯……防災導入事例

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新高島駅からの暫定歩行者通路は、横浜駅からみなとみらい21への導線として整備工事が行われている地区。駅前から10基のハイブリッド街路灯が立ち並ぶ(撮影:防犯システム取材班)
新高島駅からの暫定歩行者通路は、横浜駅からみなとみらい21への導線として整備工事が行われている地区。駅前から10基のハイブリッド街路灯が立ち並ぶ(撮影:防犯システム取材班) 全 4 枚
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 横浜市(神奈川県)が、みなとみらい21地区・新高島駅前の暫定歩行者通路に10基導入したハイブリッド街路灯。1日より供用開始となったが、太陽光発電と風力発電の両方に対応しており、街路灯でありながら、災害発生時には電源供給ができる機能を備えるなど、ユニークな特徴を持つ街路灯といえる。

 今回、1日に開催された同街路灯の点灯式にて、ハイブリッド街路灯を提供している再生可能エネルギー(風力、水力、太陽光)を利用した発電方法を研究開発するWINPRO ENERGYの担当者に、ハイブリッドである理由や、詳細なスペックに関してうかがったので早速報告していきたい。

 まず、ハイブリッド街路灯が導入された背景には、横浜市が環境問題などに取り組む国家的プロジェクト「環境未来都市」に選定されていることがあり、ハイブリッド街路灯の設置は、そうした取り組みの一環として横浜市が用地を提供して、民間企業が設置を行う公民連携の事業となっている。今回のケースでは、用地を横浜市が用意し、設置工事をスリープログループが行い、WINPRO ENERGYがハイブリッド街路灯を提供した。

●東日本では太陽光だけでは不十分!?

まず最初にうかがったのは、なぜハイブリッドなのかという点。一般的にハイブリッドタイプよりも太陽光発電だけの街路灯の方が安価に設置できるだけに、わざわざハイブリッドタイプが採用されたのには、それなりの理由があって然るべきだ。 

 その質問をぶつけると、同社の担当者は設置場所の周辺環境を最初に挙げた。一般的に太陽光パネルによる発電は、市街地では周囲の建物が影となり、十分な発電ができないことも少なくないという。今回設置されたみなとみらい21地区も、神奈川県でも有数の高層ビルが立ち並ぶエリアということで、その条件は十分に当てはまる。

 続いてあげたのが、西日本と東日本の日射量の違い。一般的に西日本は日射量が豊富で、太陽光パネルの発電効率もいいが、東日本(東北・北海道を含む)では、日射量が減り、逆に風力発電の効率があがるという。そうしたこともあり、ハイブリッド、とりわけ太陽光と風力という組み合わせなのだそうだ。

 ちなみに同社のハイブリッド街路灯の風力発電で使われているブレード(羽)は、風速1m/秒の微風でも回転するため、太陽光と組み合わせることで、より安定した発電が行えることになる。

●無風・無日照でも12時間点灯で3日間持続

 続いてうかがったのが、無風や無日照が続いた場合の点灯可能時間。いくら2つの発電方式を使っていても、予期せぬ事態で十分な発電が行えなくなることもある。返って来た回答は、「12時間点灯で3日間」というもの。もともと、同社のハイブリッド街路灯の標準仕様は8時間点灯で3日間となっているそうだが、みなとみらいに設置されたものはカスタマイズ仕様になっているとのこと。

●電源供給機能は災害時用

 最後に聞いたのが、ハイブリッド街路灯のもう1つのユニークな特徴である電源供給機能に関して。AC100Vの非常用コンセントが標準仕様で搭載されており、太陽光と風力で発電&蓄電された電力は、災害時に補助電源として供給することができるのだそうだ。どれくらいの供給能力を持つのかに関しては、非公表とのこと。

 AC100Vの非常用コンセントに関しては、普段は街路灯のポール内に収納されており、必要性に合わせて管理・運用者が専用器具を使って開放するという。

●ニーズが高まる再生可能エネルギー製品

 最後にハイブリッド街路灯の業界トレンドを伺ったところ、昨今では、防災公園や避難指定場所(学校・市役所)といった場所に独立電源タイプの再生可能エネルギー製品を設置するケースや、検討を始めている流れがあり、問い合わせも増えているという。

《防犯システム取材班/小菅篤》

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