【木暮祐一のモバイルウォッチ】第92回 「コミュニケーションしたい」でも「アカウントは伏せたい」という人のための便利アプリ | RBB TODAY

【木暮祐一のモバイルウォッチ】第92回 「コミュニケーションしたい」でも「アカウントは伏せたい」という人のための便利アプリ

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木暮祐一氏。青森公立大学 准教授/博士(工学)、モバイル研究家として活躍し、モバイル学会の副会長も務める。1000台を超える携帯コレクションを保有
木暮祐一氏。青森公立大学 准教授/博士(工学)、モバイル研究家として活躍し、モバイル学会の副会長も務める。1000台を超える携帯コレクションを保有 全 9 枚
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 何かと慌ただしい年度末。「教員は春休みだから余裕?」と聞かれることも多いが、じつは当該年度の報告書等取りまとめや研究成果発表などが山積みで、世間一般以上に最も多忙な時期なのである。それに加え新年度の準備も進めなくてはならない。講義の準備はもちろんなのだが、同時に学生とコミュニケーションを取る手段のメンテナンスも必要だ。研究室を卒業する学生もいれば、新たに加わる学生もいる。

 これまでこうしたグループでの連絡手段としてメーリングリストや、LINE、Facebookといったソーシャルネットワークを駆使してクローズドなコミュニケーションを図ってきた。それぞれ便利に活用はできるのだが、一点だけ要望を満たせてないのが「メンバー間でアカウントを伏せたい」ということ。あれこれコミュニケーションするためのサービスを探したところ、どうやら「らくらく連絡網」なら目指す条件を満たせそうだというのが分かった。

■グループでのコミュニケーションおよび情報共有手段として最適

 インターネットを使ったグループコミュニケーションにどのような手段を利用されているであろうか。企業も大学も、メールや掲示板等のイントラネットを用意しているのが一般的であるが、Google Apps(Gmail、カレンダー等のGoogleサービスを独自ドメインで利用できるサービス)など常に進化するクラウドサービスを導入している機関であればまだ良いが、独自のイントラネットを構築してしまったところではスマホ対応も今ひとつで積極的に使おうという気になれない。残念ながら筆者がこれまで所属してきた大学もこういう状況にあって、学生とのコミュニケーションは結局既存のオープンなサービスをうまく工夫して活用するような状況が続いていた。

 たとえば少なくとも10年前はまだガラケーが全盛で、コミュニケーション手段はケータイEメールが中心だった。このため筆者はグループでの連絡手段としてメーリングリスト(以下、ML)を活用していた。その後、学生のスマホ普及率が高まるとともに、その手段はソーシャルネットワークの活用に移行していった。現在、LINEでグループを作り、緊急時の連絡はLINEを使い、また同時にFacebookのグループ機能を活用し、こちらはスライドデータや講義関連資料の共有や、投稿に対して意見を交わす形でディスカッションにも活用している。

 しかし、MLやLINE、Facebookとも、ひとつ問題になってくるのが「グループ内でアカウントが他のメンバーに知られてしまう」という点だ。MLであれば、たとえばML専用のメールアカウントを用意するなどの方法もあったが、LINEやFacebookを使う場合はアプリでの使用が主体であり、アカウントが異なると切り替え(ログインしなおし)に手間がかかる。そもそもFacebookの場合は複数のアカウント所持を規約上認めていない。

 アカウントを伏せてグループ間で情報共有やコミュニケーションをしたい、そんなニーズに応えてくれるサービスがないかあれこれ探してみたところ、まさに痒い所に手が届くというようなアプリに行き当たった。それが、「らくらく連絡網」だ。

 イオレが運営するこの「らくらく連絡網」のスタートは2005年4月にオープンしたメーリングリストサービスにさかのぼる。イオレはもともとスポーツ団体を支援するコンテンツサービスを提供することを目指して設立された企業で、社名のイオレは応援する時の『オーレ』に由来するという。「らくらく連絡網」の誕生は、あるサッカー少年団から団体内のコミュニケーション手段が欲しいという要望があり、この団体向けに同社のアルバイトが業務外でシステムを作り提供したところ、思いのほか評判が良く、これが「らくらく連絡網」に発展したという。

 グループで情報を共有するために、当初は無料のメーリングリストサービスとしてサービス提供を開始し、その後時代の流れに応じて対応端末やサービス内容をブラッシュアップし、現在に至っている。PC用のサービスに加えケータイにも対応させ、その後、スマートフォンの時代となりスマホ用アプリの展開に至る。そしてつい先日、スマホ向けアプリが刷新され、さらに使い勝手が向上している。
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《木暮祐一》

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