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期待はずれ?購入決定?iPhone SE&iPad Proのポイントを分析!

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iPhoneの新モデルとして登場した「iPhone SE」(C)GettyImages
iPhoneの新モデルとして登場した「iPhone SE」(C)GettyImages 全 12 枚
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 画面サイズは「iPad Air 2」と同じだが、本日発表されたモデルは機能や位置づけは“別モノ”の商品と思われるのでストレートな比較にはふさわしくないように思う。ここでは簡単に「9.7インチのiPad Pro」に関するハイライトを振り返っておこう。

 まずカラバリにはiPadシリーズとして初めてローズゴールドが加わった。Wi-Fi単体モデルに、Cellurar通信機能を加えたモデルも発売されるが、発表会で上映されたムービーをよく見ると、Cellurarモデルは背面のアンテナ部分のデザインが少し変わったようだ。

 カメラまわりの機能も強化されており、メインであるiSightカメラのセンサーの解像度は12MPに上がり、FaceTimeカメラの方も5MPに高画素化した。セルフィ撮影時にディスプレイを発光させる「Retina Flash」や、「Live Photos」「4K動画撮影」なども乗って「iPhone 6s」なみの充実ぶりだ。

 ディスプレイまわりでは画面輝度が500ニットに上がって色域も拡大したことから、写真や動画を表示した際の精細感が一段とアップするものと思われる。使用環境の明るさに応じて画面の色合いを自動調節する「True Tone Display」は同機からの新機能だ。ほかにもオーディオ周りでは本体に4基のスピーカーが搭載され、出力もアップしたことでエンターテインメントコンテンツがより心地よく楽しめるようになるという。

 発表会の壇上でティム・クックCEOが「iPad Proの登場により、既存のラップトップPCからの買い替えが加速するだろう」と自信をもって述べていたが、タブレットの世界ではしばらく「iPadのライバルはiPad」の状況が続いていた。これからはマイクロソフトのSurfaceも含めたノートPCをターゲットに熾烈な戦いが繰り広げられることになる。iPadのセールス自体はこのところ、やや下降気味とも言われていたので、新たな戦いのフィールドに打って出ることでiPadシリーズを再度勢いづかせる狙いもあるだろう。パーソナルユースのスマートフォンであるiPhoneに対して、iPadは家族で使うタブレットという色彩が強いデバイスだったが、これからは仕事で使うビジネスツールとして、アップルはその魅力をより強調してきそうだ。今回256GBの大容量モデルを追加してきた戦略の背景にもビジネスマンへのアピールが透けて見える。実際に12.9インチだとやや大きくてビジネスバッグに入れづらいが、9.7インチならキーボード付きでもポータビリティが損なわれないし、ビジネスにも活躍してくれそうなタブレットとしては買って損はなさそうだ。

■アクセサリのキーボードとスタイラスペンもセットで

 その鍵を握るアイテムが、12.9インチの「iPad Pro」と同時に発売された周辺アクセサリの専用キーボード「Smart Keyboard」と、スタイラスペン「Apple Pencil」だ。それぞれに販売は好調と聞くが、iPadの操作性やクリエイティビティをさらに高めるアクセサリとしてますます定着してくれば、先にビジネスマンや学生の支持を獲得してきたマイクロソフトのSurfaceのユーザーを奪取することも可能になる。筆者としては今回のタイミングで「Smart Keyboard」の日本語対応や「Apple Pencil」のカラバリの登場に期待していたのだが、残念ながらそのアナウンスはどこにもなかった。

 一方で、もし今後iPadのビジネスツールとしての役割が多くのユーザーに認められ、ノートPCからiPadへの置き換えが進んだとしても、アップルがiPadのビジネスモデルを自体をシフトさせていく必要が出てくるだろう。なぜなら、仕事で使うノートPCは“革新的”なものよりも“使いなれたもの”を好むユーザーが多いからだ。

 確かにタブレットはノートPCに比べてポータビリティも高いし、メールやWebチェックなどをメインに使う限りはノートPCと互角か、あるいはそれ以上に作業効率を高めてくれる側面がある。ただし、iPadのようなデジタルガジェットに対しては、もっと短い期間で進化する革新的な機能やデザインを求めるユーザーの声も多い。

 二種類の期待を吸収しながら、これからiPad Airでは革新性を追求し、iPad Proはビジネスツールとしての安定性を重視しながら発展を遂げるという方向に、すみ分けが進むのだろうか。あるいは12.9インチのiPad Proから搭載が始まった独自の「Smart Connector」をコアに、革新的な機能を“外付け”のモデルで提供していくというスタイルもアリだと思う。いずれにせよ、これからのアップルのiPadを中心とした商品戦略にはこれまで通り熱い視線が注がれることだろう。
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《山本 敦》

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