1人経営、路地裏のカフェを支えるタブレット決済システムとは? | RBB TODAY

1人経営、路地裏のカフェを支えるタブレット決済システムとは?

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店内入口にはコイニーによりクレジットカードに対応する掲示がある
店内入口にはコイニーによりクレジットカードに対応する掲示がある 全 6 枚
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 小売店や飲食店などの接客業では、現金だけではなくクレジットカードでの支払いに対応することで客層の拡大につながる。支払いでクレジットカードを頻繁に利用する“カード主義”の客を取り込めるからだ。

 店がクレジットカード決済へ対応する場合は、クレジットカード会社等と契約を結び、客のカードを読み取って決済処理する専用機を店内に設置する据え置き型が一般的である。しかしここ数年、専用機の代わりにスマホやタブレットといったモバイル端末を使うモバイル決済サービスを利用する店が増えている。いくつかあるサービスの1つが、2012年にスタートしたコイニー(Coiney)だ。

 コイニーは、手持ちのモバイル端末に専用アプリをインストールし、クレジットカード読み取り機を接続すれば利用可能。読み取り機は手のひらサイズで、モバイル端末のイヤホンジャックにつなぐ。モバイル端末をクレジットカード読み取り機としても利用できるようにし、支払い時に客のカードを読み取り、モバイル端末のタッチ画面で暗証番号の入力や客のサインなどを1台で行える。

 コイニーのクレジットカード決済サービスを導入しているのが、東京都・渋谷の路地裏に店を構えるカフェ「factory(ファクトリー)」。2011年11月にオープンし、当初は据え置き型のクレジットカード決済サービスを利用していたが、翌年、コイニーのサービスに乗り換えた。

 「基本的にものぐさで、手元に紙やデータを持っていたくないんです。そんなときにあるお客様からのご紹介でコイニーを導入しました。私はiPadで利用しているのですが、これが1台あればすべてが済む気軽さがいいですね」と語るのは同店オーナーの西原典夫氏だ。

 それまで利用していたクレジットカード決済サービスは、専用の機械を電話回線につなげなければならず、カウンターの奥のバックヤードに置いていたのだが、「お客様からクレジットカードをお預かりしてバックヤードへ行って処理し、決済伝票とボールペンを持って席へ戻り、お客様からサインをもらって決済伝票を保管しなければならず、なにかと手間がかかりました。ですがコイニーでは、iPadを手にお客様の席ですべて処理できますので圧倒的に楽です。お客様にとってもすべてが目の前ですので安心感があると思います」という。

 また、コイニーはビザ、マスター、セゾン、JCB、アメックス、ダイナースなど主要のクレジットカードブランドに対応し(店舗業態により異なる)、決済手数料は一律3.24%の低さ。「コストを安く抑えられるのもうれしいです」とのことだが、さらに、“カード主義”が多い外国人の利用も増えて1割近くを占めるようになり、野外の露店市場イベントに出店した際にもクレジットカード決済に対応できたのはモバイル活用のコイニーだからこそ。しかし、西原氏にとってメリットはほかにもある。



 コイニーでは、POSレジやPOSシステム、会計ソフトなど他のサービスとも連携している。手持ちのモバイル端末でクレジットカード決済だけではなく、レジから会計までの処理を一気通貫で行えるわけだ。そこで、西原氏はコイニーと連携するiPad向けPOSレジソフトのユビレジ(Ubiregi)と、会計ソフトのフリー(freee)も導入している。

 客からオーダーを受けるとユビレジに登録しておいたメニュー表から選択して入力。支払時に、クレジットカード決済ならばコイニーで、現金決済であれば現金を受け取りユビレジを数回タップして、ワイヤレス接続したプリンタからレシートを印刷して客へと渡せばよい。

 1日の売り上げを集計する日計は、ユビレジやコイニーで決済したデータを元に自動で処理し、税務申告に必要な処理もフリーが自動で行う。「以前は、注文ごとに紙の伝票に手で書いて、毎日閉店後、その日にたまった伝票を電卓で計算して日計表をまとめていました。その手間がなくなったのはとても楽ですし、計算ミスや書き間違えを気にすることもなくなりましたので、精神面でも余裕ができましたね。本当に紙と電卓を使わなくなりました」と西原氏は笑みを浮かべる。

 factoryの席数はカウンターが2席、大テーブルで10席、ソファ席が計14席、テラス席4席の計30席で、1日の来店客数は多い日で90人ほど。小ぢんまりとしたカフェだが、西原氏はスタッフを雇わずにこれを1人でこなすため、まさにコイニー、ユビレジ、フリーは西原氏にとって強い武器なのだ。

 factoryではコーヒーや豊富なビール、料理、雑貨等を用意しているが、「居心地を大切にしたい」という思いから、客が気軽に弁当や食事を持ち込み、店内から出前注文することにも応じる。電源や無線LANを開放しており、パソコンを持ち込んで作業したり、打ち合わせしたりすることも可能だ。ほかにもギャラリーとして、イベントスペースとして、「お客様に店を自由に使っていいただけるように心がけています」という。ビジネスマンやOLのほか、多彩なジャンルのクリエイターも多く集まるfactoryで、客層を広げるアイテムとしてコイニーは今後も活躍しそうだ。

 なお、モバイル端末へつなぐコイニーの読み取り機は、西原氏が利用しているのは従来の磁気ストライプのクレジットカードにのみ対応するもの。ところが、コイニーでは2015年の秋から、磁気ストライプだけではなくIC式のクレジットカードにも対応する「Coiney ターミナル」を新たにリリースしている。これは、モバイル端末との接続がワイヤレス対応で、将来的にはNFC(近距離無線通信)を使った非接触ICの利用も可能となる。

■factory
東京都渋谷区渋谷2-8-7 青山宮野ビル1F
[電話]03-6419-7739
[営業時間]12:00~22:00、土15:00~22:00
[定休日]日祝
http://factory.cr/

1人経営のカフェの武器! タブレット決済でレジ効率化

《加藤/H14》

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