【立入勝義の米国レポート】決済端末がもたらす米国のチップ文化への違和感
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昔日本から来た家族と一緒にレストランで食事をして、妥当なチップを残したにも関わらず、革製の会計ボードに挟んであることに気が付かなかった店員が走って追いかけてきたことがあり、弟がビックリしていたのを思い出す。曰く、それならテーブルに置いとけばいいシステムにしなけりゃいいじゃん、と。確かに。アメリカの「合理主義」はあくまで当地の現実主義に根ざしている、必ずしも外国人の目に「合理的」であると映らないのが曲者である。
さて今回はこのチップを巡り最近感じた違和感について。
もともとはサブウェイやパンダ・エクスプレス、最近ではChipotle(チポトレ)といった体面注文式の店舗が増えてきているのだが、これらはマクドナルドに代表されるファストフードよりは素材に拘る「健康的」なイメージ、合理的かつスピーディなのがウケているようだ。このような店では簡易メニューを見ながら先に食事を注文し受け取り、自分でテーブルに運ぶのだが、こういう事前精算式を採るカフェやレストランの一部では日本で人気のAirレジのようなタブレットPOS端末を利用するところがある。この時、 「妙な空気」が漂う状況があるのだ。そう、最後にさり気なく心付けを「推奨」される画面が表示されるのである。この時だけ端末をくるっと回してこちらに見せてくる。
これに困惑するのは筆者だけではないらしい。%についてはすぐに分かるし、ノーチップを選択することもできるし、自分で料率を設定することもできる。しかし、違和感を感じながらも空気に負けてついつい一番下の15%を選択してしまいがちである。でも、ちょっと待った。チップはそもそも一昔前に従業員が最低賃金より安い金額で働いていたのを補完するもの。今はほとんどの店で最低賃金が支払われており、それ以下だとまず人を雇えない(知人のレストラン経営者談)。
《立入勝義》
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