海外出張者の通信費を抑えるには? ゲオが中小企業向けに現地SIM活用術セミナー | RBB TODAY

海外出張者の通信費を抑えるには? ゲオが中小企業向けに現地SIM活用術セミナー

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ブラステル 第四営業部 部長 海外事業戦略担当の佐藤章氏
ブラステル 第四営業部 部長 海外事業戦略担当の佐藤章氏 全 4 枚
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 海外へ出張する機会が多い企業にとって、通信費といえども、できるならコスト削減を進めたいものだ。その対応策の一つに、現地で流通するSIMを利用する方法があるが、実際にどのように運用すれば良いのだろう。

 ゲオモバイルは29日、同社 アキバ店にて中小企業の経営者や総務担当者向けに、「海外出張者の通信を安くする秘訣」をテーマに特別講座を開催した。講師として招かれたのは、ブラステル 第四営業部 部長 海外事業戦略担当の佐藤章氏。海外渡航者や訪日外国人に向けたサービスを20年にわたり提供している、ブラステルならではのデータとノウハウが明かされた。

 佐藤氏によれば、日系企業における海外出張者の大半は、大手キャリア(NTTドコモ、au、ソフトバンク)の国際ローミングを利用しているという。そこで気になる通信費用だが、1人あたり月10万円かかるケースも珍しくないそうで、スタッフ20名を派遣した会社では月額180万円を支払ったケースもあるとのことだ。

 なぜ、国際ローミングは高額になるのだろうか。佐藤氏は、とあるキャリアのサービスをタイで利用したケースを紹介しながら説明した。「日本宛てに電話をかけて50分間の通話」をし、また「日本からの電話で30分間の通話」をし、「タイ国内で10分間の通話」をした例では、9,750円+5,850円+750円=16,350円の請求額が発生していた。かかってきた電話であっても、約200円/分の通話料がかかるという事実。同じキャリア内でサービスが簡潔する便利さから、つい利用してしまいがちな国際ローミングだが、気が付いたときには請求額が膨らんでしまっているというわけだ。

 高額請求を回避する方法はいくつか考えられる。佐藤氏が薦めたのは、ブラステルの国際転送サービス×現地のSIMカードという使い方。受話者が負担するのは「転送元の大手キャリアへの支払い」+「国際転送費」+「現地のキャリアに支払う着信費」のみで、国際ローミングに比べると大幅なコスト削減が実現できるという。場合によっては7~8割のコスト削減にもつながるケースがあるとした。

 このほか、佐藤氏は「国際ローミングには専用の帯域を提供される」と説明していた。国際ローミングでは現地キャリアの提供する通信網をいわば“拝借”する形となるが、このとき提供されるのはローミング用の帯域なのだとか。道に例えるならメインストリートを使わせてもらえず、狭い道を使わされるというのだ。そのためスピードが遅く、回線も混雑しており、通信状況も良くない場合があるとのこと。その点、現地のSIMなら満足のいく通信が行える可能性が高いらしい。佐藤氏は受講者に「郷に入れば郷に入った現地のSIMを使え」と呼びかけていた。

 海外に渡航した際には、現地のSIMカードを買って使う。日本人にはなじみのない考え方かもしれない。しかし、外国人にとってはすでに常識だという。では、日本はなぜ遅れてしまったのだろうか。それは日本の携帯電話市場が歩んだ特異性と関係があるようだ。国内ではこれまで、キャリアの提供する携帯電話を買って使うのがデファクトスタンダードだった。“SIMを入れ替えて使う”という発想が一般の消費者になじんできたのは、キャリアによるSIMロックの解除が義務付けられ、海外のSIMロックフリー端末が国に入ってくるようになり、またMVNO事業者による格安SIMサービスが注目を浴びてきた、ここ最近のことなのだ。

 海外の空港に目を転じてみれば、SIMを販売しているカウンターや、SIM専用の自動販売機を設置している国が増えてきた。今後、日本の消費者の間にも、海外で現地のSIMを購入して使う利用方法が浸透してくるのかもしれない。

 ちなみに会場となったゲオモバイルでは、SIMロックフリー端末を数多く取り扱っている。今回の佐藤氏の講座で語られたような、海外出張に赴く法人からの問い合わせにも、積極的に対応していきたい考えだという。

《近藤謙太郎》

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