【INBOUND JAPAN 2016】訪日観光客を集客する決め手 | RBB TODAY

【INBOUND JAPAN 2016】訪日観光客を集客する決め手

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東京の情報を多言語で提供する「LIVE JAPAN」
東京の情報を多言語で提供する「LIVE JAPAN」 全 4 枚
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【記事のポイント】
▼個人観光客対応はインターネット専門旅行代理店(OTA)が有効
▼農協がグリーンツーリズムの新たなパートナーに
▼地方誘致の課題はバスと宿泊施設の手配


■インバウンド展示会に見る集客のヒント

 インバウンドの急増によって、観光業や宿泊業といった関連業界では、その対応に追われる事業者が増えている。しかし、訪日外国人を迎える体制が整ったとして、それで準備が完了したとはいえない。このチャンスを収益に結び付けるには、当然のことながら訪日観光客を集客する必要がある。

 訪日観光客への集客方法は、ターゲットが団体旅行客と個人観光客で大きく変わる。このうち団体旅行客については、海外の旅行会社やエージェント、国内のNPOや自治体を相手取った交渉が必要なので、中小企業にはやや敷居が高い。

 一方、個人観光客をターゲットとするなら、彼らが母国で旅行を計画する際に、手の届くところに情報を提供する必要がある。では、その方法とは一体何だろう? 22日から東京ビックサイトで開催されたB to B専門展示会「INBOUND JAPAN 2016」に、そのヒントを探ってみた。

■多言語の観光情報サイトで客をつかむ

 個人観光客が旅行を計画する際、利用するツールの代表となるのがWebだろう。トリップアドバイザーやYelpなど、多国語で展開されている観光情報サイト。さらには、インターネット専門の旅行代理店(OTA)などが、その情報源となっている。

 会場でも世界最大級の宿泊予約サイト「Booking.com」がブースを出展していた。世界224カ国にサービスを展開しており、日本国内でも約8300の宿泊施設が情報を登録。登録や年会費などを必要とせず、出来高による仲介手数料方式なので、中小の宿泊業者でも利用の敷居は低そうだ。

 一方、国内でもぐるなびが16年4月、訪日観光客向けに東京の観光情報を案内するサイト「LIVE JAPAN」をオープン。現状はやはり飲食店の利用が多いようだが、店舗情報が自動翻訳された上で、サイト上に多言語で掲載されている。運用は同社のグルメ情報サイトと同じ掲載料方式で、管理画面をお店に提供。イベントや限定メニューといった“LIVE”な情報を提供できるのが大きな特徴だ。

 現在は主なターゲットを中国に設定しており、SNSでの情報発信などで利用者を増やしているとのこと。冬までには、さらに海外の展示会にも積極的にブースを展開し、プロモーションを行っていくという。

 なお、同社では旅行サイト「トリップアドバイザー」と15年12月にパートナーシップ計約を締結。トリップアドバイザーで飲食店のページを開くと、そこに「ぐるなび外国語版」の店舗情報へのリンクが配置されている。


■農協観光が訪日観光客向けグリーンツーリズムに積極対応

 最近では農林漁業体験などを通して自然と触れ合う「グリーンツーリズム」が、訪日観光客から注目を集めている。この分野で長い実績を持つのが農協観光だ。16年3月にはリクルートライフスタイル、農林中央金庫、ABCクッキングスタジオと包括パートナーシップ協定を締結。従来の教育観光から、そのターゲットを広げつつある。

 農協観光 営業企画部 梅澤大助氏によると、現在進めているプロジェクトの中でも、最も勢いのあるのが国際交流。つまり、インバウンドの誘致に関する事業だという。

「海外の旅行会社からの依頼を受けて、ランドオペレーターの立ち位置でツアーの企画構想から手掛けるような案件が増えています。先日はABCクッキングスタジオから、マレーシアスタジオの生徒をトマトの収穫体験などにお連れしました」

 ただ、ツアーの内容自体は、従来の農業体験や工芸品の制作、郷土料理の提供などと何も変わらないという。今あるプログラムから、外国人にも受けのよさそうなものをツアーとして提案。中でも、人気を集めているのが果物狩りだ。

「とはいえ、国際交流事業では農業にかける思いなど、教育旅行ほどには食育的な情報は求められません。皆さんかわいい果物を収穫して、写メを撮って、SNSにアップすることを楽しんでいるようです」

 今までは地方のJAに問い合わせがあっても、なかなか現場での対応ができなかったインバウンド対策。その受け入れ態勢ができたことで、地元の相談に乗るような機会が増えてきているという。地方の観光業にとっては頼もしい存在となりそうだ。

 とはいえ、これは業界全体の課題だが、インバウンドを地方に誘致するには2つの大きな課題がある。それが、バスと宿泊施設の手配だ。インバウンドが急増したことで、業界では今バスの手配が間に合わない状況が続いている。さらに、交通機関を確保して外国人観光客を送客できても、地方には彼らを泊められるだけの宿泊施設がない。

 地方でインバウンド観光に参画しようと考えるなら、まず宿泊施設や二次交通などの環境が整備されているかを確認する必要がある。その上であればOTAや農協観光をパートナーに、外国人観光客を集客することもできそうだ。

【INBOUND JAPAN 2016】訪日客をつなぎとめる次の一手

《丸田鉄平/H14》

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