【コト消費化するインバウンド】ゲームセンターの新接客術 | RBB TODAY

【コト消費化するインバウンド】ゲームセンターの新接客術

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近年ではゲームセンターを訪れる訪日観光客が増えており、外貨自動両替機を置く店舗も現れた
近年ではゲームセンターを訪れる訪日観光客が増えており、外貨自動両替機を置く店舗も現れた 全 3 枚
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【記事のポイント】
▼翻訳サービス活用でインバウンド客を充足させると同時にスタッフ負担を解決
▼「WeChat Payment」の導入で中国人の口コミを呼ぶ


■ゲームセンターの遊び方に迷う訪日観光客

 これまで観光スポットと爆買いに集中していたインバウンド。その活動範囲がFIT(海外個人旅行)やリピーターの増加とともに、街中へと広がりつつある。駅前などによくあるマンガ喫茶や温浴施設などで、訪日観光客の姿を見かけるようになった。

 このような需要を取り込むことは、都市部で店舗経営を行う事業者にとっては大きな課題だろう。ただ、そのためには外国語対応などの準備が必要となり、接客を行うスタッフにも負担がかかる。その対応に工夫をこらしている企業のひとつが、東京を中心にゲームセンターを運営するアドアーズだ。

 経営企画部IR・広報グループ係長の秋山実優二氏によると、例えば人気ゲーム機のうち「UFOキャッチャー」のようなものであれば、他人がプレイしている様子を見れば、外国人でも操作方法は理解できるという。しかし、「プリクラ」などは外部との視界が遮断されているため、外国人が操作に悩むケースも多いようだ。

「アジア圏のお客様の中には、お金を入れるところから操作を案内しないと分らないという方もいらっしゃいました。店内は原則禁煙で、撮影も禁止していますが、そういったマナーをお知らせする必要もあります」

 近年では都市部のゲームセンターを訪れる訪日観光客が増えているという。このような店舗について、アドアーズでは英語や中国語を話せるスタッフを配置。お客様対応を行っていたが、それでも解決しないようなシーンもあるようだ。



■音声通訳などのサービス向上で口コミを呼ぶ

 このような状況に対応するため、16年2月からアドアーズが利用しているのが音声通訳代行サービスだ。これは、店舗スタッフがコールセンターに電話をつなげることで、通訳を介した会話ができるというもの。24時間の対応をしているので、外国語が話せるスタッフが不在の時間帯でも、訪日観光客への対応ができるのが魅力だという。

「サービスを導入したことで、外国語に精通していないスタッフにも安心して接客を任せられるようになりました。現場の外国人対応におけるスタッフの負担も軽減しています。外国人のお客様はリピーターも多いので、次回訪日したときに『安心して遊べる』とまた来ていただいたり、『あそこはよかった』と口コミしていただくこともできそうです。実際、友達に紹介されて来たというお客様もいらっしゃいました」

 ちなみに秋葉原や浅草などではアジアから、渋谷では欧米からのバックパッカーが多いというように、訪日観光客の傾向は地域ごとにさまざまだ。それをログから解析して、設置する機器を変えたり、サービス内容に生かすといった取り組みも考えられるという。

 さらに、音声通訳代行サービスの導入に合わせ、アドアーズでは中国で一般的に使われている決済サービス「WeChat Payment」への対応もスタートした。これはオーナーがショーケースのスペースを借りてフィギュアなどを販売する「アニメプラザ秋葉原 レンタルショーケース」での利用が可能だが、中国人に口コミで広がり、今では来店客の8割が中国人観光客を占めるという。

「『WeChat Payment』は中国本土で広く使われている決済サービスで、中国の方にはより利便性が高まったと思います。爆買いではありませんが、数十万円遣われる方もいますね」

 インバウンドが急増する中で、外国語対応が急務となり、小売店や宿泊施設などに向けた翻訳サービスもさまざまなものが登場している。中には、月額1000円で使えるようなものもあるので、中小でも比較的に導入は容易だ。インバウンドの関心が体験型コンテンツへとシフトする中で、ゲームセンターやカラオケ店などのアミューズメント施設では、今後訪日観光客の増加が予想される。このような施設を持つ事業者では、外国語対応をいち早く進めて、その消費の取り込みを目指したい。

【コト消費化するインバウンド:2】ゲームセンターの新接客術

《関口賢/HANJO HANJO編集部》

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