ソフトバンク孫代表、Sprint社について思いを語る……合併交渉の決裂をめぐり | RBB TODAY

ソフトバンク孫代表、Sprint社について思いを語る……合併交渉の決裂をめぐり

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2018年3月期 第2四半期 決算発表会に登壇する、孫正義ソフトバンクグループ代表
2018年3月期 第2四半期 決算発表会に登壇する、孫正義ソフトバンクグループ代表 全 6 枚
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 ソフトバンクは6日、2018年3月期 第2四半期 決算発表会を開催した。同社をめぐっては、つい先日、米国における合併交渉が決裂したことが報じられたばかり。登壇した孫正義ソフトバンクグループ代表は、その件についての説明に多くの時間を割いた。

■交渉決裂の経緯を説明

 決算発表会の冒頭、孫代表は米Sprint社(業界4位)に関する話題から切り出した。ソフトバンクグループ傘下のSprintは、この数ヵ月間、T-Mobile社(同3位)と経営統合を目指して交渉を続けていた。しかしその交渉は11月4日(米国時間)に決裂している。「3位と4位が合併して、VerizonとAT&T(ともに1位と2位)に匹敵する規模になれば、様々なメリットを共有できる。これはソフトバンクグループが米国に進出するときの基本戦略でもあった」と孫代表。

傘下のSprintがT-Mobileとの合併交渉を停止したことを改めてアナウンスした
傘下のSprintがT-Mobileとの合併交渉を停止したことを改めてアナウンスした


 決裂した理由は、T-Mobileが経営権を譲らなかったため。「ソフトバンクが単独とはいかないまでも、イコールパートナーの立場でT-Mobileと一緒に経営していけるのであれば、経営統合は有り得ると思っていた」と孫代表。10日間前には取締役会も開催した。そこで議論されたのは、Sprintが戦略的に重要な会社なのか、単なる投資アセットなのかということ。孫代表は「役員の意見は、Sprintはアメリカ市場における重要な拠点であり、会社を手放してまで合併はすべきでないということで一致した。5年後、10年後には正しい判断だったと結論が出る」と説明する。

最重要市場のアメリカにおいて、情報革命のインフラである通信インフラを手放すことはできない、と孫代表
最重要市場のアメリカにおいて、情報革命のインフラである通信インフラを手放すことはできない、と孫代表


 「この数ヵ月間、ずいぶん悩んだ。でも、迷ったときほど遠くを見よ、と普段から自らに言い聞かせている。その言葉通りで、自ずと出すべき結論は見えてきた」と孫代表。先方と東京で直接会って、正式に決裂が決まったと舞台裏を明かした。今の気持ちを聞かれると、ひとこと「晴れやかな気持ち」と回答。迷いが断ち切れて、すっきりしたという。

■Sprintにこだわる理由は?

 孫代表がここまでSprintにこだわる大きな理由が2つある。ひとつは国内の携帯電話市場がすでに飽和状態となり、米国市場に伸びしろを求めていること。実際、この日の決算発表会では、Sprintの2017年上期の営業利益が2,000億円に達していることが紹介された。

Sprintでは、半期の営業利益が2,022億円にまで達している
Sprintでは、半期の営業利益が2,022億円にまで達している


 もうひとつの理由は、米国市場にモバイルのネットワークと顧客を持っていることが、来たるべきIoT時代に大きな財産になること。ソフトバンクグループはIoTに欠かすことのできないチップを製造するARM社を抱えており、Sprintとのシナジーに期待を寄せている。ちなみに同日(11月6日)には、Sprintの株式の追加取得が発表された。「喜んで株式を買わせて頂きました」とおちゃめに笑う孫代表だった。

SprintとArmによりIoT 1兆個時代の通信インフラを提供できると試算。来たるべきIoT時代に向けて、Sprintの経営権は手放せなかった
SprintとArmによりIoT 1兆個時代の通信インフラを提供できると試算している。来たるべきIoT時代に向けて、Sprintの経営権は手放せなかった


 質疑応答でも、Sprintについて質問がおよんだ。株式を取得することで、経営に口を出すことはできるのではないかという質問に対して、孫代表は「もちろん話し合いながら進めることはできる。しかし経営する以上は、自らが意思決定したい。ソフトバンクの歴史を紐解いても、革命、改革をするために腹をくくった経営上の決定を繰り返してきた」と説明。そのために、経営権をしっかり持っていたいということだった。

11月6日には、Sprintの株式の追加取得が発表された
11月6日には、Sprintの株式の追加取得が発表された

《近藤謙太郎》

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